新型コロナウイルスに感染したお子さんが「自宅療養」される際のポイント
お子さんが新型コロナウイルス感染症にかかり、大変心配な状況かと思います。ご自宅でお子さんを看病する際の観察のポイントや、ご家族が気を付けるべきポイントについてまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。
新型コロナウイルスに感染したお子さんの観察のポイント
- お子さんの新型コロナウイルス感染症は多くの場合は軽症です。ただし第6波以降、新型コロナウイルス感染症に伴ってクループ症候群※1や、熱性けいれん※2を伴うお子さんをみかけるようになってきました。
- お子さんのご機嫌、食欲、顔色、呼吸のようす(息苦しそうでないか、胸がべこべこへこむような呼吸になっていないか)、意識はおかしくないかなどを観察して下さい。機嫌がよく、食欲があり、顔色が普通であれば基本的には心配いりません。
- 逆に、意識がはっきりしない、機嫌が悪い、食欲が低下している、水分がとれない、顔色が悪い、息苦しそう、嘔吐を繰り返す、などの場合は担当保健所、またはかかりつけ医に早めに相談してください。けいれんしている場合は救急車を呼んでも結構です、すみやかに病院に受診して下さい(その際に新型コロナウイルスにかかっていることは伝えて下さい)。
※1:クループ症候群
のどの奥(声をだすための声帯があるあたり)が感染により腫れてしまうことで、声がかすれたり、息を吸うときにヒューヒューする音がでたり、犬の鳴き声のようなケンケンするかん高い咳がでたりする病気です。生後6か月から3歳くらいまでのお子さんに多い病気です。いろいろな呼吸器ウイルスの感染が原因となりますが、新型コロナウイルスでも起こりうることが報告されています。ひどくなると息苦しくなってしまい、空気の通り道を広げるための吸入や、炎症をおさえるステロイドを投与するなどの治療が必要となります。クループ症候群を疑う症状がでた場合は、はやめに病院を受診しましょう。
※2:熱性けいれん
お子さんが発熱した際におこる、けいれん発作です。多くの場合は数分程度でおさまり、後遺症なども残さないので過剰な心配は不要ですが、髄膜炎など別の病気が隠れていないか判断する必要があるのでけいれんした場合はすぐに病院を受診しましょう(救急車を呼んでかまいません)。けいれんした場合はできるだけ落ち着いて、お子さんを横向きに寝かせ、もし吐いてしまった時に吐物で気道をふさがないようにしましょう。通常の熱性けいれんは5歳くらいまでが多く、特に1-2才が最も起こりやすいといわれています。ただし、新型コロナウイルス感染症に関連して6才を越える年長児の熱性けいれんを経験しておりますので、お子さんの年齢に関わらず気を付けていただければと思います。
ご家族に感染を広げないために気を付けるべきこと
東京都が、自宅療養者向けのハンドブックを公開1しています。大変わかりやすいので是非参考にして下さい。その中で挙げられている、自宅での感染予防8つのポイントを示します。
特にお子さんのケアをする際に重要なポイントは、以下になります。
- 2歳未満のお子さんへのマスクの着用は、息が詰まるなどの危険があるのでやめましょう。2歳以上のお子さんの場合は、お部屋で1人で休んでいる時にマスクをつける必要はありませんが、ご家族がお子さんのお世話をする際には、可能であればお子さんにもマスクをつけましょう。もちろん、お世話をするご家族のマスクは必須です。
- マスクの着用については、お子さんの症状がでてから10日間、もしくは症状が治まってから3日間、どちらかの期間の内、長い期間が過ぎたら外してもかまいません。
- 新型コロナウイルスは便にも排出されます。小さいお子さんの場合、おむつの取り扱いには気をつけましょう。おむつ交換の際にはおむつ交換用のシートを使用するか、交換後の清掃をしましょう。おむつを捨てる際にはビニール袋で密閉し、さらにもう1枚のビニール袋で2重に密閉して捨てるようにしましょう(使用済みマスクや、鼻をかんだティッシュなども同様です。ゴミの捨て方については環境省が出しているポスター2が一部参考になります。また、おむつや使用済みマスク、鼻をかんだティッシュの処理をしたあとは必ず石鹸で手を洗いましょう。一方で、トイレトレーニングが終わっているお子さんの場合は、トイレで用を足したあと、蓋をしめてから水を流すようにしましょう。トイレを使った後は家庭用の洗剤でしっかりと掃除をし、そのあと手洗いをお子さんと一緒にしましょう。
- 体を拭いたり、排泄物の処理をしたりする際にはマスクに加え、可能であれば使い捨てのエプロンや手袋を使うようにしましょう。最後に石鹸で手をしっかりと洗うことが重要です。
- お子さんを抱っこする場合、添い寝をしないとお子さんが寝られない場合、ご家族はマスクを着用し、可能であれば使い捨てのエプロンや手袋を使うようにしましょう。
- 歯磨きの際には、歯磨き粉の家庭内での共有を避けましょう。
- 洗顔や入浴の際のタオルやバスタオルの使いまわしも避け、ご家族それぞれに別のタオルを使用しましょう。
- 食事の際に使う食器については、できれば使い捨てのものにして、食事が終わった後はビニール袋に入れて口を縛って捨てて下さい。使い捨ての食器が使用できない場合は、通常の食器用洗剤でしっかり洗えばよく、感染者のものを分けて洗う必要はないとされています。もし気になる場合は0.05%に希釈した次亜塩素酸ナトリウムに10 分浸け置いた後、通常通り洗剤で洗って下さい。次亜塩素酸ナトリウムの希釈の仕方は東京都の自宅療養者向けのハンドブックに記載されています。食器を洗い終えたら一度しっかりと手を洗いましょう。
- 暑い日には、マスクなどの着用により熱中症にならないように、部屋の温度に配慮して、冷房を適切に使用しましょう。