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理事長挨拶

理事長 五十嵐 隆

理事長 五十嵐 隆

国立成育医療研究センターは受精・妊娠に始まり、胎児期、新生児期、乳児期、学童期、思春期を経て次世代を育成する成人期へと至るライフサイクルに生じる疾患(成育疾患)に関する医療(成育医療)と研究を推進するために設立されました。この目的を目指す上で忘れてはならないのは子どものためのアドボカシー(advocacy:自己主張できない存在の代わりになってその存在のために行動すること)の理念です。さらに、女性の健康・疾患に特化した研究の推進や、女性の健康に関わる最新のエビデンスの収集・情報提供を行うことを目的に「女性の健康総合センター」の役割が2024年に当センターに付加されました。

私共は、必要とする全ての子どもや青年そして女性に優れた医療を提供します。感染症などの急性疾患や難病などの慢性疾患を持つ子どもとそのご家族、合併症妊娠や出産を願う女性とそのご家族、さらに女性全般が安心して医療を受けることができるように、安全でこころのこもった医療・看護・患者支援を行うことを目指します。また、肝臓、腎臓、心臓などの臓器移植(生体肝移植は年間70例以上、実施数や生存率は世界一)、先天性免疫不全症・血友病・脊髄性筋萎縮症などへの遺伝子治療、先天代謝異常症の酵素補充療法、重症アトピー性皮膚炎・食物アレルギーの治療、一絨毛膜性双体児、横隔膜ヘルニア、大動脈狭窄などの児に対する胎児治療などの高度先進医療を進めます。研究所との共同成果である先天性尿素サイクル異常症患児へのES幹細胞移植は世界初の画期的治療法で、安全性と有効性を確認しています。また、これまで私共が実施してきた「妊娠と薬事業」、「プレコンセプションケア」、「産後ケア」を推進します。さらに、子どもや青年とその御家族、そして女性をbiopsychosocial(身体的・心理的・社会的)に把握し、支援することを目指します。

優れた医療を提供するには優れた医学研究が不可欠です。医療と医学研究とが補い合う存在であるからです。世界の医療や医学を革新する優れた成果を生み出すために、当センターでは病院と研究所が密接に協力していきます。医学研究には、基礎医学研究から、再生医療や遺伝子治療などの基礎医学研究の成果を臨床に応用するための研究、患者を対象とする臨床研究、さらに、心理・社会学的な研究まで多岐にわたります。具体的には、小児難治性遺伝性疾患の原因遺伝子の解明やその機能解析を通じた治療法の開発、インプリンティング異常による小児内分泌疾患の病因・病態解明、免疫アレルギー疾患の治療法開発、小児がんの新しい診断法・治療法開発、ES細胞・iPS細胞を用いた再生医療の開発、生殖に関連した分子機構の解明、バイオバンクの運営などです。また、当センターは日本医療研究開発機構(AMED)のの事業である再生・細胞治療、遺伝子治療中核拠点の一つとして、活躍しています。さらに、シンクタンクセンターではこどもの健康を守る療育環境のあり方や、次世代の健全な育成に資するための政策に関連する研究を実施し、成果や政策提言を社会に公表することで、社会貢献を果たしています。私共は研究体制を今後さらに強化し、世界をリードする基礎・臨床研究を目指して努力します。

一方、障害や病気があり成長する子どもや青年とご家族の支援についても忘れてはなりません。慢性疾患のある子どもや青年とご家族を支援するために2016年春から運営を開始した医療型短期入所施設「もみじの家」は、子どもや青年の在宅医療の支援施設として順調に運営され、たくさんの方からのご支援を頂いています。この場をお借りして、感謝申し上げます。同様の施設が日本中に広まる事を願っています。

当センターの全ての職員は、成育医療や医学研究を通じて社会に貢献したいと考えます。しかしながら、医療や医学研究には多くの矛盾と危険性が含まれています。人を対象とする研究を行って成果を得るとはいかなることか、医療や医学研究に貢献することとは何か、自分たちの仕事を通して私共はどのような社会を作ろうとしているのかなどの省察が常に当センターの全ての職員に求められています。さらに、私共が得意とする成育医療、看護、保健、福祉、医学研究、医学教育の分野で将来頑張ってくれる若い有能な人材を育て上げることも当センターの重要な使命です。

私共は「成育基本法」や「こども基本法」の理念を十分に意識し、わが国の成育医療・女性の健康と医学研究を推進するため、これからも一層の努力をいたす所存です。多くの方々のご支援とお力添えを頂けますよう、お願い申し上げます。

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