こころの診療部の医師、臨床研究員の論文が表彰されました
多門裕貴医師と小枝達也医師が小児精神神経学会 福山・加我アワード受賞
この賞は、学会誌「小児と精神と神経」に掲載された論文の中から優秀とされた執筆者に与えられる賞で、小児医学振興財団より授与されました。
受賞内容は「社会的コミュニケーション症の診断に向けた特性に関する検討」です。社会的コミュニケーション症(SCD)は2013年に新しく追加された疾患概念で、言語的および非言語的なコミュニケーションの社会的使用に困難さを示すことから、自閉スペクトラム症(ASD)との見極めが重要になりますが、参考となる補助検査所見が乏しい現状があります。
本研究ではSRS-2(対人行動、コミュニケーションなどを評価する検査)と比喩皮肉文テストとを組み合わせることにより、SCDとASD両者の相違点を明らかにし、それぞれの見極めに有用な補助検査になり得ることを示しました。
※多門 裕貴医師(現在は清川遠寿病院、東北大学加齢医学研究所 応用脳科学研究分野所属)
山口有紗臨床研究員が、小児医学研究振興財団アワード欧文誌(Pediatrics International)を受賞
小児医学研究振興財団は、優れた小児医学の研究に対する助成や、若手小児科医らの育成のための支援などを行って、小児の保健と福祉の向上に貢献することを目的とした団体です。その財団より、山口医師が執筆した新型コロナウイルスと子どもの権利に関する論文が評価され、今回の受賞となりました。
原著論文
【山口臨床研究員からのコメント】
の論文では、国立成育医療研究センターのチームによる調査結果をもとに、新型コロナウィルス感染症の流行がこどもの生活にどのように影響を与えたかを、「こどもの権利」の視点から考察しました。こども家庭庁やこども基本法でも、子どもの権利の実現が柱となっています。今回の受賞が、子どもの権利軸にwell-being(心身の状態、周囲との関係性、社会的な環境などが包括的に健やかな状態)を捉えることの拡がりにつながればとても嬉しいです。成育のチームの皆様、そして何よりも声を届けてくれた子どもたちに、心から感謝を申し上げます。
※山口医師は現在 子どもの虐待防止センター、こども家庭庁所属