日本初のコクラン共同計画日本支部が国立成育医療研究センターに設置
科学的根拠に基づく医療 ( EBM : evidence - based medicine ) の推進、 政策の意思決定に貢献
国立成育医療研究センター研究所政策科学部部長の森臨太郎は、京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻教授古川壽亮と共同で、日本支部の共同代表を務めることとなりました。コクラン共同計画日本支部は、コクラン系統的レビュー作成のサポートおよびトレーニングを提供し、日本の医療/政策に科学的根拠に基づいた意思決定を促進します。
プレスリリースのポイント
- 国立成育医療研究センターは、日本でのコクラン系統的レビュー出版・著者へのトレーニングの功績が認められ、コクラン共同計画豪州コクランセンターから正式な日本支部として国内で初めて認可された。
- 国立成育医療研究センター研究所政策科学部部長の森臨太郎と京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻教授古川壽亮と共同で、日本支部の共同代表を務める。事務局は、国立成育医療研究センター研究所に置き、医療政策科学研究室長の大田えりかが事務局長を務める。
- 日本支部では、コクラン系統的レビュー作成のサポートおよびトレーニングを提供し、日本の医療/政策の科学的根拠に基づいた意思決定を促進する。
背景
コクラン共同計画とは、1992年にオックスフォードで設立された国際的な非営利団体であり、研究者、医療従事者、医療消費者、介護者、アドボカシー運動の支援者、保健医療に関心のある人々の独立した世界的なネットワークです。コクラン共同計画によって、系統的レビュー(コクランレビュー)と呼ばれる、同じ研究課題に関して検討した研究を網羅的・系統的に検索しその結果を質に応じて吟味したうえで必要に応じて統計学的な統合を行う手法が確立されました。
コクランは、研究を通して得られた膨大な量のエビデンスを、医療に関する意思決定に役立てるという課題に応えており、企業からの資金提供やその他の利害関係のない、信頼性の高い、アクセス可能な医療保健情報を生み出し続けています。
現在52の分野で行われ、コクランレビューの結果を診療方針に応用していくことが根拠に基づく医療の同義語ともなるくらい浸透し、医療分野における十大発明の一つまで言われている。現在に至るまで120か国以上の研究者・医療者が参加し、5,000以上に上るレビューが作成され、世界中の保健医療分野に影響しています。
国立成育医療研究センターに、平成25年6月日本で初めてのコクラン妊娠出産グループ日本支部が日本で唯一コクラン共同計画の正式組織として設立し、以降の成果において高い評価を得てきました。
今後の展望
コクラン日本支部ができるメリットは、下記の3つになります。
- 根拠に基づく医療の浸透による診療の質向上、そしてそれによる患者アウトカムの向上
- 医療者と患者双方に、よりバランスの取れた確かな情報の提供と共有による、関係性の向上
- 臨床研究の推進(手法も利益の相反も含めて質の向上)
そして日本支部は、日本におけるコクラン共同計画を推進し、サポートすることを目指して以下の5つの活動を主に行います。
- コクラン系統的レビューの新規の著者を増やす
- コクラン系統的レビューのトレーニング?ワークショップを実施する
- コクラン系統的レビュー出版のためのサポートを行う
- 日本におけるコクラン・ライブラリの利用を促進する
- コクラン系統的レビューのサマリーの翻訳を推進する
【医師名・研究者名および協力施設名】
(敬称略、順不同)
- 本件に関する取材連絡先
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国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
03-3416-0181(代表)
koho@ncchd.go.jp
月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時
※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。