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妊娠中の女性に薬剤使用による児への影響など適切な医療情報を提供することが、不必要な人工妊娠中絶・妊娠中の不安払しょくに貢献することを明らかに

国立成育医療研究センター妊娠と薬情報センターは、これまでの妊婦・ 胎児に対する服薬の影響に関する相談・情報収集を通して明らかになった成果を基に、女性が安心して妊娠・出産のできる社会づくりに貢献して参ります。
この研究成果は、2018年6月に学術誌であるReproductive Toxicologyより発表されました。

▸ 発表論文情報

プレスリリースのポイント

  • 日本人女性は、妊娠中の薬剤曝露による胎児への先天異常のリスクを過大評価する傾向にあります。薬剤曝露による児への影響に関する誤った情報は、妊娠継続を諦めることにつながる懸念もありました。
  • 今回の研究において、妊娠中の女性の薬剤使用による児の催奇形性・胎児毒性についてのリスク認識は、国立成育医療研究センター妊娠と薬情報センターにおける正しい医療情報の提供を施す対面カウンセリング後に減少した。その成果として、対面後のカウンセリング後に妊娠を継続する意向が高まることが分かりました。
  • 今後、国立成育医療研究センター妊娠と薬情報センターは、妊婦・ 胎児に対する服薬の影響に関する相談・情報収集を継続し、全国にある拠点病院を通じた双方向の情報提供を以て、女性が安心して妊娠・出産のできる社会づくりに貢献して参ります。

背景・目的

妊娠中の女性および胎児の薬剤曝露について、一般的に妊婦は非常に心配しがちです。必要な治療の中止や妊娠継続の中断につながる可能性があるため、妊娠中の薬剤使用における過剰なリスク認識は問題でした。

そこで、妊娠中の薬剤曝露による児の先天異常のリスク認識の現状を把握すること、そして、適切な医療情報を提供し妊婦の不安を払しょくするカウンセリングの有用性を明らかにすることを目的として研究を致しました。

研究手法

今回、対面カウンセリング前後で妊婦の妊娠中の薬剤曝露による児の先天異常の発生リスク、及び妊娠継続の意思をVisual Analogue scale (VAS)により取得した。

実際の妊娠継続率については、妊娠転帰ハガキを分娩予定日一か月後に送付して取得した(妊娠転帰ハガキを使用)。

VAS(Visual Analogue scale)の画像
VAS(Visual Analogue scale)

対象妊婦の画像
対象妊婦

研究結果

妊婦は妊娠中の薬剤曝露による児の先天異常のリスクを過剰に認識しており、カウンセリングによりリスク認識が低下・妊娠継続意思が増加したことから、カウンセリングを通じた適切な医療情報の提供と不安の払しょくの有用性が明らかとなった

  • 681人の妊婦のうち、児に先天異常が起こるリスク認識の中央値は、カウンセリング前は33.0%(四分位範囲16.0-50.0%)、カウンセリング後は5.0%(2.0-11.0%)であった(P<0.01)。
  • カウンセリング後、妊娠を継続する意思の中央値は86.0%から100.0%に有意に増加した(P<0.01)。
  • 実際の調査ではほとんどの対象妊婦(97.1%)が妊娠を継続していることが明らかになった。

今後の展望

今後、国立成育医療研究センター妊娠と薬情報センターは、妊婦・ 胎児に対する服薬の影響に関する相談・情報収集を継続し、全国にある拠点病院を通じた双方向の情報提供を以て、女性が安心して妊娠・出産のできる社会づくりに貢献して参ります。
本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

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