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ステロイド薬または免疫抑制薬内服下での弱毒生ワクチン接種の多施設共同前向きコホート研究

ネフローゼ症候群、リウマチ疾患、炎症性腸疾患、臓器移植後などで、免疫抑制薬を継続しているお子さんは、弱毒生ワクチンが添付文書上禁忌になっています。それは、免疫不全症の患者さんに弱毒生ワクチンを接種すると、ワクチン株によるウイルス感染症の危険が高いためです。しかしながら、免疫抑制薬内服中は麻疹や水痘が重症化するリスクが高く、免疫学的に大きな問題がなければ、弱毒生ワクチンを接種して予防したいと考えています。

これまで当院で、事前に免疫の検査をして問題のない症例に接種するという形の前向き研究を施行してきましたが、8年間で230接種施行してきて、抗体獲得率は、麻疹91%、風疹98%、水痘65%、ムンプス53%でした。1名に水痘ワクチン後のワクチン株による水痘を発症しましたが、それ以外に重篤な有害事象はありませんでした。従って、一定の免疫条件をクリアした患者さんは、弱毒生ワクチンは安全に接種できるものと考えられました。また、昨年、全国の小児の腎疾患、リウマチ疾患、肝疾患、消化器疾患、腎移植後、肝移植後の専門施設を対象に「免疫抑制薬または生物学的製剤を使用中の患者への弱毒生ワクチン接種の全国実態調査」を施行しました。2013年1月から2017年12月までの間に免疫抑制薬または生物学的製剤使用下での弱毒生ワクチンがのべ781名に施行されていましたが、2名に水痘ワクチン後のワクチン株による水痘の発症があったのみで、それ以外に重篤な有害事象はありませんでした。これらのデータをもとに、免疫抑制薬および弱毒生ワクチンの添付文書に書かれている「併用禁忌」という文言の修正について、現在関連学会や厚労省と相談中です。

3月1日より、「ステロイド薬または免疫抑制薬内服下での弱毒生ワクチン接種の多施設共同前向きコホート研究」を開始することとなりました。事前に細胞性および液性免疫能の検査を行い、当センターの研究事務局での確認を行った上で接種するという形の全国多施設共同研究で、現在約30施設が参加を予定しています。本研究は、参加のためには各施設での倫理委員会の承認が必要となりますが、まだ研究参加受付中なので、参加希望施設は御連絡下さい。

参考文献

  • 亀井宏一、宮入烈、庄司健介、河合利尚、新井勝大、伊藤玲子、小椋雅夫、佐古まゆみ、中村秀文、伊藤秀一、石倉健司. 免疫抑制薬内服中の患者への弱毒生ワクチン接種の現状と今後の戦略・課題. 日本臨床腎移植学会雑誌2018; 6: 163-172
  • Kamei K, Miyairi I, Ishikura K, Ogura M, Shoji K, Funaki T, Ito R, Arai K, Abe J, Kawai T, Onodera M, Ito S. Prospective study of live attenuated vaccines for patients with nephrotic syndrome receiving immunosuppressive agents. J Pediatr 2018; 196: 217-222.
本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

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