胎児の出生を可能とする染色体数の自然修復は、受精後数日に集中
国立成育医療研究センター(住所:世田谷区大蔵 理事長:五十嵐隆)研究所・分子内分泌研究部・吉田研究員・深見部長らのグループは、ヒト胚における染色体の変化が時間によって厳密に制御されていることを明らかにしました。この研究成果は、ヒト胚の成熟プロセスの解明や染色体異常の発症メカニズムの理解に役立つことが期待されます。
プレスリリースのポイント
- 受精から間もない時期のヒト胚の細胞では、しばしば染色体の数の異常が認められます。このような細胞を多く持つ胚は通常着床しませんが、一部の細胞では染色体数異常が自然に修復されることがあります(異数性レスキュー)。本研究の結果、出生を可能にする異数性レスキューは受精後数日間の短期間に集中して起こることがわかりました。
- さらに、異数性レスキューを受けた胚でも、正常な胚と同じタイミングで「X染色体不活化」という変化が始まることがわかりました。これは胚成熟に必要な染色体変化が、胚の中の細胞数とは無関係に、受精後の時間に応じて進行することを示します。
発表論文情報
著者: | Tomoko Yoshida, Mami Miyado, Masashi Mikami, Erina Suzuki, Kenichi Kinjo, Keiko Matsubara, Tsutomu Ogata, Hidenori Akutsu, Masayo Kagami, Maki Fukami |
題名: | Aneuploid rescue precedes X chromosome inactivation and increases the incidence of its skewness by reducing the size of the embryonic progenitor cell |
掲載誌: | Human Reproduction. 2019 (in press) doi: 10.1093/humrep/dez117. |
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