多発性硬化症の治療における新たな標的候補を発見~米国学会誌が注目~
国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)研究所薬剤治療研究部の宮本幸上級研究員らのグループは、タンパク質の一種であるRnd2が脳の白質(主に神経線維が走行している領域に発現し、白質のミエリン(神経細胞の軸索部分を取り囲んでいる構造の形成・維持において重要な役割を果たすことを明らかにしました。これはミエリンが変性し、神経軸索がむき出しになる指定難病「多発硬化症」の治療において、新たな標的候補を発見したことを意味します。
この成果は、2021年4月15日に米国細胞生物学会誌『Molecular Biology of the Cell』のweb上で公開され、5月1日号の同誌の表紙に選ばれました。
プレスリリースのポイント
- タンパク質の一種であるRnd2が脳に発現し、白質のミエリン構造の形成・維持において重要な役割を果たすことを明らかにしました。
- Rnd2が、多発性硬化症の治療における新たな標的分子であることを示しました。
- Rnd2の活性を調整することで ミエリン組織を再生できる可能性があり、多発性硬化症や先天性ペリツェウス・メルツバッハ病など、ミエリン変性を呈する様々な疾患の治療薬の開発につながることが期待されます。
発表論文情報
- 雑誌:
- Molecular Biology of the Cell
- 題名:
- Rnd2 differentially regulates oligodendrocyte myelination at different developmental periods
- 著者:
- Yuki Miyamoto, Tomohiro Torii, Miho Terao, Shuji Takada, Akito Tanoue, Hironori Katoh, and Junji Yamauchi
- リンク:
- molbiolcell.org/doi/10.1091/mbc.E20-05-0332
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