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(傾向スコアマッチング解析で患者背景を揃えた患者群での解析)
国立成育医療研究センター感染症科の庄司健介(医長)と国立国際医療研究センター国際感染症センター・AMR臨床リファレンスセンターの都築慎也(応用疫学研究室医長)らの研究チームは、妊婦の新型コロナウイルス感染症における入院例の疫学的・臨床的な特徴を分析した研究を発表しました。本研究は、国立国際医療研究センターが運営している国内最大の新型コロナウイルス感染症のレジストリ「COVID-19 Registry Japan (COVIREGI-JP)」(主任研究者:大曲貴夫)を利用したもので、妊婦における新型コロナ患者の特徴に関する大規模な報告は、日本初となります。
本研究は、2020年1月から2021年4月までの間に登録された15歳以上?45歳未満女性の新型コロナウイルス感染症入院例4,006人を対象に実施されました。そのうち妊婦は254人、非妊婦は3,752人でした。傾向スコアマッチング解析という手法を用いて、妊娠以外の背景を揃えた患者群(妊婦187人、非妊婦935人)を比較したところ、中等症から重症の患者の割合は妊婦群18人(9.6%)、非妊婦群46人(4.9%)と、妊婦群の方の割合が高いことが分かりました。また、妊婦における新型コロナ患者254人の患者背景を、軽症群224人、中等症から重症群30人に分けて比較したところ、中等症から重症群に至った患者では何らかの基礎疾患がある、または妊娠中期(14週?)以降の患者が多かったことが判明しました。
本研究は、日本の妊婦における新型コロナウイルス感染症に関する初めての大規模な検討であり、今後の妊婦のための新型コロナウイルス感染症の予防や治療戦略を考えていく上で重要な情報となります。
2つのナショナルセンター が連携して取り組んだ本研究結果は、1月18日、臨床感染症における世界トップクラスの学術誌である米国感染症学会の「Clinical Infectious Diseases (CID)」に公開されました。
※本研究は、デルタ株やオミクロン株がまだ日本に存在しない時期に実施されているため、妊婦に対するこれらの変異株の影響については評価できません。
※「入院前の3密の存在」については、妊婦1名、非妊婦103名のデータ欠損がございます
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