国立成育医療研究センターとMICIN 臨床研究開始 医療的ケア児の体調管理や 介護者や医療者間の情報共有を支援するアプリの開発に向けて
医療的ケア児とは、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な子どもの事で、医学の進歩・高度な医療施設の整備が進んだことなどにより、増加傾向にあり、全国で約2万人と推計されています。医療的ケア児の保護者・介護者は、子どもの健康状態を、見た目や様々なバイタルサインの変化から総合的に判断しています。医療的ケア児は、病態によりいつもの状態が個人によって異なるため、常に子どもに接していないと保護者・介護者は判断が難しく、在宅環境の中では介護者が医療的ケア児の健康状態を的確に把握できるか不安になったり、主な介護者であることが多い母親に負担が集中したりする傾向があります。
国立成育医療研究センターとMICINは、これまで内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」事業において、医療的ケア児の保護者へのアンケート調査およびインタビューを通じて、保護者の日常生活の負担を低減する手法を検討し、解決策の一つとしてMICINが開発した治療生活支援アプリ「MedBridge (メドブリッジ)」をベースに、新たに本アプリを共同で開発しました。医療的ケア児の保護者が、子どもの日常の健康状態をアプリに入力します。普段の健康状態と違いがある場合には、保護者に注意喚起されます。さらに、この情報が患児の主治医にも共有されます。本アプリには、連絡帳を介して保護者が医療者と相談する機能も搭載されています。探索臨床研究として、1月より、ユーザビリティ評価を実施し、保護者・介護者と子どもを預かる施設の双方で、質問内容などの入力時の問題、情報交換する際の問題点の有無についての検討をはじめます。
保護者・介護者が本アプリを的確に操作でき、心理的・身体的負担の軽減につながれば、ケアの経験の少ない他のご家族の方や介護職にも本アプリを使用することで患児のケアに参画してもらうことが可能となります。更に、家庭外の場所で使用することで、医療的ケア児を預かる施設等を社会に広げることにも寄与すると考えられます。
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