【コロナ禍における親子の生活と健康の実態調査】 2021年と比べて小中学生の向社会性は改善傾向 しかし、こどもの抑うつ傾向は改善が見られず注意が必要
国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区 理事長:五十嵐隆)研究所の社会医学研究部 森崎菜穂部長らの研究チームは、小中高生とその保護者を対象に3回(2020年12月、2021年12月、2022年10月)実施した「新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する実態調査」の報告を、経時的にまとめました。
その結果、2021年と比べて、2022年の調査では小学校5年から中学校3年までの各学年において、協調性や共感性などの向社会性を表す指標は改善が認められました(グラフ1)。一方で、仲間関係・多動/不注意・情緒・行為の問題を含むメンタルヘルスの問題については、小5・中1では改善が見られるも、中3では悪化するなど、全体では改善が見られませんでした(グラフ2)。また、こころの状態について、保護者は2022年は2021年より改善が見られましたが、こどもにおける中等度以上の抑うつ傾向は、2021年が11%、2022年が13%と改善は見られませんでした(グラフ3)。
5月8日以降、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に変わり、社会活動が平時に戻っていきます。しかし、こどもも大人も全員が同じペースで同じように回復するわけではなく、こころや身体の状態が戻るのに時間がかかる人もいます。そういった方々が取り残されないよう、本調査結果が個人や社会としてこどもたちに何ができるのかを考え続けるきっかけになれば幸いです。
【グラフ2:こどもの総合的な困難さ(メンタルヘルス)】
【グラフ3:こどもの抑うつ傾向】
プレスリリースのポイント
- 層化二段無作為抽出法※1により全国50自治体から選ばれた小中高生のこどもとその保護者を対象に調査票を郵送し、2020年12月、2021年12月、2022年10月に調査を実施しました。(2020年度は小5・中2、2021年度は小5~中3、2022年度は小5~高1を対象としています。)
- 協調性や共感性などの向社会性を表す指標については、小学校5年から中学校3年までの各学年において、2021年と比べて2022年の調査では改善が見られました。(グラフ1)一方で、仲間関係・多動/不注意・情緒・行為の問題を含む総合的な困難さについては、小5・中1では改善が見られるも、中3では悪化するなど、全体では改善が見られませんでした(グラフ2)。
- 中等度以上の抑うつ傾向は、こどもでは全体に占める割合が2021年は11%、2022年は13%と改善は見られませんでした(グラフ3)。しかし、保護者では2021年が40%、2022年が28%と改善が見られました。
- こどもの孤独感を表す指標、肯定的な未来志向に関する指標については、2021年と2022年で統計学的に有意な変化はありませんでした。
- 保護者については小6~中2の各学年で、こころの状態を表す指標の改善が認められました。
- 本件に関する取材連絡先
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国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
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