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新生児、乳児の消化管アレルギーの全国調査結果 ~約半数が生後1ヶ月までに発症し、早期の診断治療、栄養管理が重要~

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)の好酸球性消化管疾患研究室 鈴木啓子共同研究員、野村伊知郎室長は、免疫アレルギー・感染研究部 松本健治部長、社会医学研究部 森崎菜穂部長、アレルギーセンター 大矢幸弘センター長、消化器科 新井勝大診療部長、厚労省研究班医師らとともに、日本の2歳未満の新生児、乳児の消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)[1]に関する全国疫学調査を行いました。
その結果、新生児、乳児の消化管アレルギーの約半数は生後1ヶ月までの新生児期に発症しており、中でも重症度の高い嘔吐と血便があるグループでは発症の中央値が出生後7日目と、早期に発症していました。新生児、乳児の消化管アレルギーについて全国を対象に調査した大規模疫学研究は日本では初めてです。
本研究成果は、国際的な学術誌「Allergology International」に掲載されました。
図、発症日齢と4つのグループ
【図:発症日齢と4つのグループ】

[1]新生児、乳児の消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)とは、生後間もない新生児や、離乳食を開始した乳児などで起き、原因食物を摂取して数時間後~数日後に嘔吐・血便などの消化管症状を起こす疾患。数週間後に発症することもあり、食物が原因であると気付かれにくい。約7割の患者では抗原特異的なIgE抗体は検出されず、また一般的な即時型食物アレルギー(IgE依存性)の主要症状である皮膚症状がないことも特徴のひとつです。

プレスリリースのポイント

  • 2歳未満の新生児、乳児の消化管アレルギーについて日本で初めて行われた全国調査研究です。
  • 調査の組み入れ基準として、消化管アレルギーの可能性がある患者を包括的に調査対象とする、パウエル(Dr. Geraldine Powell)の診断基準[2]を採用しました。
  • 患者は症状から分類した4つのグループについて、それぞれに、分布していることがわかりました。
  • 新生児、乳児の消化管アレルギー患者の約半数は新生児期に発症している(発症の中央値が30日)ことが確認されました。
  • グループ1(嘔吐あり、血便あり)の発症は出生後7日目(中央値)と、4つのグループの中で最も早いことが確認されました。
  • グループ1(嘔吐あり、血便あり)とグループ3(嘔吐なし、血便なし、しかし 慢性下痢や体重増加不良を起こす)は重症が多く(それぞれ約25%と約23%)、腸閉塞(それぞれ約16%と約11%)、深刻な体重減少(それぞれ約14%と約23%)なども見られ、特に注意が必要であると考えられました。
  • 原因食物は牛乳由来ミルクが最も多く見られましたが、母乳、治療用ミルク、大豆、鶏卵、米により発症した患者もいました。
  • 胎児期および新生児期における早期診断のシステム構築、病態の研究が重要と考えられます。
消化管アレルギー、発症直後の症状から分類する4つのグループ
<消化管アレルギー、発症直後の症状から分類する4つのグループ>

[2]消化管アレルギー、パウエルの診断基準には4つのステップがあります
ステップ1:治療用ミルク(食)に変更すると症状が消失する
ステップ2:症状、検査などにより他の病気と区別できる
ステップ3:症状が消えた後は、順調に体重増加が得られる
ステップ4:原因ミルク(食物)の経口負荷試験によって症状が誘発される
経口負荷試験で症状が誘発された場合、診断確定となります。ステップ3までを満たした患者は「本症の可能性が高い」とし、ステップ4までを満たした患者を「診断が確定した」としました。

発表論文情報

英文タイトル:「A nationwide survey of non-IgE-mediated gastrointestinal food allergies in neonates and infants」

和文タイトル:「新生児‐乳児食物蛋白誘発胃腸症の全国調査結果」

著者名:鈴木啓子1、2)、森崎菜穂3)、永嶋早織1)、松永保2)、松下祥子4)、飯野晃4)、田中雄一郎5)、西森久史6)、宗像俊7)
釼持学8)、村上至孝9)、佐藤未織10)、豊國賢治10)、山本貴和子10)、森田英明10,11)、福家辰樹10)、山田佳之12)、大塚宜一13)、新井勝大10,14)、大矢幸弘10)、斎藤博久11)、松本健治11)、野村伊知郎1,10)

所属:
1) 国立成育医療研究センター研究所 好酸球性消化管疾患研究室
2) 戸田中央総合病院 小児科
3) 国立成育医療研究センター研究所 社会医学研究部
4) 東京都立小児総合医療センター アレルギー科
5) 国立成育医療研究センター 総合診療部
6) 三重県立総合医療センター 小児科
7) 長野県立こども病院 新生児科
8) 北里大学病院 小児科
9) 愛媛県立今治病院 小児科
10) 国立成育医療研究センター アレルギーセンター
11) 国立成育医療研究センター研究所 免疫アレルギー・感染研究部
12) 東海大学医学部 小児科
13) 順天堂大学医学部 小児科
14) 国立成育医療研究センター 消化器科

掲載誌:Allergology International

DOI:10.1016/j.alit.2023.10.003.

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

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