養育者の健康な食に関するリテラシーが、子どもの食に影響 養育者の知識や態度が低いほど、子どもは朝食を抜きやすい傾向に
国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)研究所 社会医学研究部の石塚一枝、森崎菜穂、新潟県立大学人間生活学部健康栄養学科の堀川千嘉、村山伸子らの研究チームは、小学校5年生と中学校2年生の子どものいる家庭を対象として、養育者の健康的な食に関するリテラシー(知識や能力)が子どもの食にどのような影響を与えるのかを研究しました。
本研究では、養育者の健康的な食に関する「知識」、栄養価の高い食事を提供する「態度」、食事を準備する「スキル」の3つをリテラシーとして評価し、子どもの朝食を抜く割合や、バランスの取れた食事ができているかといった食事の質について調べました。
その結果、養育者の食に関するリテラシーが低いほど、子どもが朝食を抜く割合が高くなり、食事の質も低下していることが分かりました。
子どもの食を守るためには、養育者の健康的な食に関する知識や態度、子どもの食事を準備するスキルをサポートすることが重要であることが示唆されました。
本研究成果は、2つの論文に分かれており、イギリスの国際的な学術誌「Appetite」に掲載されました。
プレスリリースのポイント
- 本研究は、養育者の食に関するリテラシーと子どもの食についての関係を報告した、初めての研究です。
- 13%(198世帯)の子どもが朝食を週1回以上抜いており、こうした子どもの朝食の摂取頻度には、健康な食に関する養育者のリテラシーのうち、知識や態度が影響していました。(論文1)
- また、養育者の食に関するリテラシーが低い家庭ほど、コロナ禍になってから食事の準備に充てられる時間が減った、食事の準備をする心の余裕がなくなった、食品や食事を選択する経済的余裕が低下した、と回答する割合が多く、食事の準備に対する負担感が高い傾向にありました。(論文2)
- 子どもは、平常時には栄養バランスが取れた学校給食を摂ることができます。しかし、コロナ禍の学校閉鎖期間中は給食がなく、子どもたちがバランスの取れた食事を摂る頻度が低下しやすく、その影響は健康な食に関する養育者のリテラシーが低い家庭ほど顕著でした。(論文2)
発表論文情報
<論文1>
タイトル:Guardians' food literacy and breakfast skipping among Japanese school children.
著者:Rahman N1, Ishitsuka K1, Piedvache A1, Horikawa C2, Murayama N2, Morisaki N1.
所属
1)国立成育医療研究センター 社会医学研究部
2)新潟県立大学 人間生活学部健康栄養学科
掲載紙:Appetite
DOI:10.1016/j.appet.2024.107200
<論文2>
タイトル:Japanese school children's intake of selected food groups and meal quality due to differences in guardian's literacy of meal preparation for children during the COVID-19 pandemic
著者:Horikawa C1, Murayama N1, Sampei M2, Kojima Y1, Tanaka H3, Morisaki N3.
所属
1)新潟県立大学 人間生活学部健康栄養学科
2)日本体育大学 体育学部健康学科ヘルスプロモーション領域
3)国立成育医療研究センター 社会医学研究部
掲載紙:Appetite
DOI: 10.1016/j.appet.2022.106186.
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