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アレルゲン食品であるナッツ類も離乳食初期から窒息・誤嚥なく摂取が可能 ~日本初、パウダーやペーストを用いた乳幼児研究で明らかに~

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)アレルギーセンターの山本貴和子、原間大輔らの研究グループは、食物アレルギーの発症予防のために、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対してナッツ類を含むアレルゲン食品を0歳から離乳食として早期摂取できるかを評価しました。
本研究では、アトピー性皮膚炎の赤ちゃん34名を対象に、卵、牛乳、小麦、ピーナッツ、クルミ、カシューナッツを生後6か月頃の離乳食初期から少量ずつ摂取することを指導しました。その際、ピーナッツやナッツ類は、窒息や誤嚥をさけるために、そのものではなく市販のパウダーやペーストを利用して離乳食に混ぜるように指導しました。
結果、2歳までには全員が卵、牛乳、小麦の摂取が可能であり、ピーナッツやクルミも窒息や誤嚥を起こすことなく約8割の乳幼児が摂取可能でした。
本研究結果は、日本における早期からのピーナッツ、ナッツ類の摂取方法の適正化を推進するとともに、今後のナッツ類アレルギーの発症予防につながる可能性があります。
本研究成果は雑誌「Nutrients」に掲載されました。

注意:今回の結果はアレルギーの発症を防ぐ効果を示したものではありません。湿疹やアトピー性皮膚炎の既往があるお子さんは、アレルギーの原因になりやすい食品の摂取について自己判断で開始せず、必ずアレルギー専門の医師の指導の下で行ってください。


図1:各アレルゲン食品の早期摂取成功率
【図1:各アレルゲン食品の早期摂取成功率】

プレスリリースのポイント

  • 食物アレルギーの発症リスクが高いアトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対して、湿疹を適切にコントロールしながらナッツ類を含むアレルゲン食品を、離乳食初期から摂取するよう指導しました。
  • 誤嚥や窒息のリスクが高いピーナッツやナッツ類は、市販の滑らかなパウダーやペーストの形態で離乳食に混ぜるよう伝えました。
  • 2歳までに、卵は全員が摂取可能でした。以前、当センターで明らかにした鶏卵早期摂取の有効性が浸透していると考えられます。
  • 一方、ピーナッツは78.8%、クルミは81.3%が摂取可能でしたが、カシューナッツは食習慣の影響や優先度の低さから41.4%とやや劣る結果でした(図1)。
  • 期間を通じて、ピーナッツやナッツ類で、誤嚥や窒息は発生せず、救急受診したケースでも軽度のためアドレナリンの投与を必要としませんでした(図2)。
  • ピーナッツやナッツ類も、形態を工夫することで卵や牛乳同様に安全に早期摂取を行える可能性があります。
図2:有害事象の発生数
【図2:有害事象の発生数】

研究概要

2020年8月から2021年2月までに当センターのアレルギーセンターに紹介されたアトピー性皮膚炎の赤ちゃん34名を対象に、卵、牛乳、小麦、ピーナッツ、クルミ、カシューナッツを生後6か月頃の離乳食初期から毎日の離乳食にパウダーまたは滑らかなペーストの形態で少量ずつ混ぜて摂取することを指導しました。なお、粒が荒くなることで窒息や誤嚥を起こさないよう、市販の滑らかな製菓材料を使用するよう指導しました。摂取については各家庭や子どもの状況に応じて任意で進める形式で、各摂取量は受診の度に確認しました。

発表論文情報

論文タイトル:Feasibility and Safety of the Early Introduction of Allergenic Foods in Asian Infants with Eczema
著者:原間大輔1, 齋藤麻耶子1, 濱口冴香1,2, 福家辰樹1, 大矢幸弘1, 山本貴和子1
所属:
1) 国立成育医療研究センター アレルギーセンター
2) 東京都立広尾病院 小児科
雑誌名:Nutrients
DOI: 10.3390/nu16111578

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

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