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【コロナ禍における親子の生活と健康の実態調査】 5人に1人はインターネット依存が強く疑われる状態 保護者評価のこどものメンタルヘルスは改善傾向も、抑うつは改善見られず

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区 理事長:五十嵐隆)は、2020年から、小中高生とその保護者を対象に「新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する実態調査」(郵送調査)を実施しています。今回は、2023年秋に実施した最新調査結果を含めた経時的な報告を行います。
調査の結果、「インターネット依存[1]」については、2022年、2023年のいずれも約半数のこどもがインターネットを過剰に使用していること、また約5人に1人(2022年17.2%、2023年19.8%)はインターネット依存が強く疑われる状態に該当することが分かりました。

グラフ1:インターネット依存度について

【グラフ1:インターネット依存度について】


保護者がこどもを評価する「こどものメンタルヘルス[2]」の内、「総合的な困難さ(仲間関係の問題、多動/不注意、情緒の問題、行為の問題)」の指標については、2021年と比べて2022年には明らかな改善は見られませんでしたが、2023年度調査では有意な改善が見られていました。また、協調性や共感性などの「向社会性」を表す指標については、2021年と比べて2022年に改善が見られ、2023年度も引き続き改善傾向が続いていました。

グラフ2:こどもの総合的な困難さ(メンタルヘルス)

【グラフ2:こどもの総合的な困難さ(メンタルヘルス)】

グラフ3:こどもの向社会性について

【グラフ3:こどもの向社会性について】


一方で、こども本人が自分を評価する「こころの状態[3]」については、中等度以上の抑うつ症状が、2021年は11.4%、2022年と2023年は13.3%となり、改善は見られませんでした。
コロナ禍をきっかけに始まった本調査により、こどもたちのさまざまな状況や背景が明らかになりつつあります。それぞれの課題に対して、必要かつ最適な対応を考え、実践していくことが求められています。

グラフ4:こどもの抑うつ傾向について

【グラフ4:こどもの抑うつ傾向について】

プレスリリースのポイント

  • 層化二段無作為抽出法[4]により全国50自治体から選ばれた小中高生のこどもとその保護者を対象に調査票を郵送し、2020年12月から毎年秋~冬に調査を実施しています。(2020年度は小5・中2、2021年度は小5~中3、2022年度は小5~高1、2023年は小5~高2を対象)
  • インターネット依存に関する調査については、2022年は全体の48.3%、2023年は全体の51.3%のこどもがインターネットを過剰に使用している疑いがあることが分かりました。また、2022年は全体の17.2%、2023年は全体の19.8%のこどもが、インターネット依存が強く疑われる状態にあることがわかりました。(グラフ1)
  • 仲間関係、多動/不注意、情緒の問題、行為の問題を含む、こどものメンタルヘルスの「総合的な困難さ」については、2021年と比べて2022年の調査では全体では改善が見られていませんでしたが、2023年調査では全体平均値は有意に減少していました(グラフ2)。
  • 協調性や共感性などのこどもの「向社会性」を表す指標については、2021年と比べて2022年の調査では、小学校5年から中学校3年までの各学年において改善を認め、2023年も改善傾向が続いていました(グラフ3)。
  • こどもの抑うつについては、中等度以上の抑うつ症状が2021年は11.4%、2022年と2023年が13.3%となり、改善は見られませんでした。

注釈

[1] インターネットの依存度(Young Diagnostic Questionnaire for Internet Addiction (YDQ)):ユングによるインターネット依存度尺度。「あなたは、インターネット使用を制限したり、時間を減らしたり、完全にやめようとしたが、うまくいかなかったことがたびたびありましたか?」など8項目の質問に対して、はい(1点)・いいえ(0点)で尋ね、合計点を算出。


[2] 日本語版 SDQ(Strength and Difficulties Questionnaire:子どもの強さと困難さアンケート)を用いて、直近半年のこどもの情緒や行動について保護者に質問。向社会的な行動は(0~10点)で評価。得点が高いほど向社会性が高いことを表す。「仲間関係の問題」「多動/不注意」「情緒の問題」「行為の問題」(各 0~10点)の合計点からなる「総合的困難さ(TDS: total difficulties score)」(0-40点)は得点が高いほど困難さが大きいことを表す。

[3] こころの状態: 思春期のこどもを対象としたうつ症状の重症度尺度であるPatient Health Questionnaire for Adolescents(PHQ-A)を用いて行った。過去7日間について、①「気分が落ち込む、ゆううつになる、いらいらする、または絶望的な気持ちになる」、②「物事に対してほとんど興味がない、または楽しめない」など、9 項目の質問から構成される。各項目は、4 点スケール(全くない:0点、数日:1点、半分以上:2点、ほとんど毎日:3点)で評価され、総合点が高いほど重度のうつ症状が示唆される。5~9 点が軽度、10~14 点が中等度、15~19 点がやや重度、20 点以上は重度のうつ症状と評価。


[4] 層化二段無作為抽出法:行政単位(都道府県・市町村)と地域によって全国をいくつかのブロックに分類し(層化)、各層に調査地点を人口に応じて比例配分し、国勢調査における調査地域および住民基本台帳を利用して(二段)、各地点ごとに一定数のサンプル抽出を行うもの。

報告書全文

新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する実態調査報告書(2020-2023)」の全文は国立成育医療研究センター「コロナ×こども本部」のページで公開しています。

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

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※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

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