代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

  • アクセス・交通案内
  • 予約センター
  • MENU
  • トップ
  • > プレスリリース
  • > 2024
  • > がん遺伝子産物RASの分解異常によるヌーナン症候群発症メカニズムを解明 RAS/MAPKシグナル阻害が治療に効果

がん遺伝子産物RASの分解異常によるヌーナン症候群発症メカニズムを解明 RAS/MAPKシグナル阻害が治療に効果

ヌーナン症候群は、低身長・心疾患・骨格異常などを伴う遺伝子疾患で、先天的にRAS/MAPKシグナル伝達経路の分子の変異が認められます。ヌーナン症候群の原因として報告された遺伝子LZTR1は、患者で同定されるほとんどは遺伝子の機能を失う変異ですが、アミノ酸の変異(ミスセンス変異)が1つの場合の発症メカニズムは不明でした。
東北大学大学院医学系研究科遺伝医療学分野の阿部太紀助教、青木洋子教授、国立成育医療研究センター研究所の高田修治部長らの研究グループは、ヌーナン症候群で同定されたLZTR1ミスセンス変異をもつマウスの作製に成功しました。作製したマウスは低身長、肥大型心筋症、骨格異常などを示しますが、心臓ではRASサブファミリーのRIT1とMRASタンパク質の蓄積が認められました。阿部助教らは2020年にLZTR1がRASをユビキチン化し分解する分子であることを報告しましたが、今回の研究ではLZTR1のミスセンス変異を持つマウスではRASタンパクが蓄積し、さまざまな症状を来すことを初めて明らかにしました。新しいRASの活性化メカニズムが明らかとなり、ヒトでの治療法開発につながることが期待されます。
本研究成果は、2024年10月1日(現地時間)に国際科学誌JCI Insight(電子版)に掲載されました。

発表のポイント

  • 先天異常症であるヌーナン症候群の患者で同定された原因分子LZTR1のアミノ酸変異を持つマウスを世界で初めて作製しました。
  • 変異を持つマウスでは低身長、骨格異常、肥大型心筋症がみられ、正常なLZTR1が分解する標的であるRASタンパク質の蓄積がみられました。
  • マウスで見られた肥大型心筋症に対しては、細胞の増殖を抑えるMEK阻害剤にて効果が認められたことから、今後の治療法開発が期待されます。

図1. 本研究の概略

【図1】 本研究の概略(左:従来のRAS/MAPK活性化機構、中央:LZTR1 によるRAS分解機構、右:LZTR1
変異体によるRAS分解機構の異常とヌーナン症候群発症機序)


論文情報

Dysregulation of RAS proteostasis by autosomal-dominant LZTR1 mutation induces Noonan syndrome-like phenotypes in mice
Taiki Abe*, Kaho Morisaki, Tetsuya Niihori, Miho Terao, Shuji Takada, Yoko Aoki*
タイトル:LZTR1の常染色体顕性遺伝形式変異によるRASプロテオスタシスの破綻は、マウスにてヌーナン症候群様の症状をひきおこす
著者: 阿部太紀、森崎佳歩、新堀哲也、寺尾美穂、高田修治、青木洋子
*共同責任著者:
東北大学大学院医学系研究科遺伝医療学分野 助教 阿部太紀
東北大学大学院医学系研究科遺伝医療学分野 教授 青木洋子
掲載誌: JCI Insight
DOI: 10.1172/jci.insight.182382
URL: https://insight.jci.org/articles/view/182382

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

ページトップへ戻る