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日本初 中学生までの小児の喘鳴5タイプが出生コホートで明らかに~肺機能の顕著な低下は見られず、欧米とは異なる特徴が判明~

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)のアレルギーセンター山本貴和子、福家辰樹らは同施設で2003年から一般の小児を対象として行ってきた出生コホート研究(成育コホート)において、13歳までのデータを使って中学生までの喘鳴のタイプが5つあることを明らかにし、それらが肺機能およびIgE感作とどのように関連するかを明らかにしました。この論文は、米国免疫アレルギー学会国際雑誌The Journal of Allergy and Clinical Immunology: Globalに掲載されました。

喘鳴5つのタイプ

プレスリリースのポイント

  • 日本で初めて、中学生までの小児の5つの喘鳴タイプを特定しました。「早期発症の一過性喘鳴」、「後期発症の一過性喘鳴」、「低頻度喘鳴」、「持続性喘鳴」、「喘鳴なし/稀な喘鳴」の5タイプです。
  • 持続性喘鳴タイプは、13歳時点での%V25の低下(ただし、一秒率など他の評価項目は低下なし)や、FeNO(呼気中一酸化炭素濃度)レベルの上昇、複数のアレルゲンに対する感作の増加と関連していることがわかりました。一方、他のタイプでは、肺機能の顕著な低下は見られませんでした。
  • 欧米の研究では肺機能の顕著な低下が特徴的でしたが、日本の小児における喘鳴タイプでは欧米とは異なる特徴を示しました。
  • 本研究の結果は、日本の小児集団における喘鳴とぜん息の現状の理解を深めるものであり、今後のぜん息の研究や医療政策策定などに貢献することが期待されます。

    背景・目的

    喘鳴は、ぜん息の主要な症状の一つであり、ぜん息は世界的にも克服しなければならない慢性疾患の一つです。過去の欧米の研究では、喘鳴タイプと肺機能の低下、IgE感作の関連性が報告されていますが、日本を含めアジアの小児期・思春期集団におけるデータはこれまで検討されていませんでした。
    そこで今回の研究は、日本の出生から思春期までの喘鳴のタイプを明らかにし、それらが肺機能およびIgE感作とどのように関連しているかを明らかにすることを目的に行われました。

    研究概要

    同センターで出産予定の妊婦(1701人)と、生まれた子ども(1550人)を対象に行っている成育コホート(出生コホート)のデータを使用し、分析しました。 2003年から2005年に妊娠した母親を登録し、現在に至るまで母親と誕生した子どもを妊娠中から継続的に追跡し、アンケート調査、診察、血液検査により、ぜん息などのアレルギー性疾患や症状、IgE抗体価などを調査しています。病気やけがで病院を受診した子どもを調査したのではなく、当センターで生まれた一般集団の子どもを追跡し、健康状態の推移を調査した縦断的研究(前向きコホート研究)です。過去にさかのぼって情報を集めて比較する後ろ向きコホート研究や、現時点のみを調べる横断研究よりもエビデンス・レベルの高い疫学調査です。
    今回は、出生から13歳までの質問票調査、医師診察、血液検査、肺機能検査(IOSやスパイロメトリー)のデータを使って、潜在クラス成長分析(LCGA)を用いて喘鳴の経過パターンを分類し、分類ごとに肺機能やアレルギー検査結果とどのように関連するか検討しました。

    発表論文情報

    題名:Lung functions and IgE component sensitizations: five wheezing phenotypes in adolescents from T-Child Study in Tokyo
    著者:山本貴和子1,2、羊利敏2、福家辰樹1、大矢幸弘1,3
    所属名:
    1) 国立成育医療研究センター アレルギーセンター
    2) 国立成育医療研究センター エコチル調査研究部
    3) 名古屋市立大学大学院医学研究科環境労働衛生学

    掲載誌:The Journal of Allergy and Clinical Immunology: Global. 2025
    DOI: https://doi.org/10.1016/j.jacig.2025.100480

    本件に関する取材連絡先

    国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

    03-3416-0181(代表)

    koho@ncchd.go.jp

    月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


    ※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

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