国立成育医療研究センター 眼科 専門研修プログラム
概要
当院の眼科研修プログラムは、眼科医の知識と医療技術を高め、すぐれた眼科医を養成し、生涯にわたる研鑽を積むことによって、国民医療に貢献することを目的とする。 国立成育医療研究センター眼科専門研修プログラムでは、専門研修基幹施設である国立成育医療研究センター病院と地域医療を担う病院(東京都立小児医療センター病院)を中心とし、これに連携施設(埼玉医科大学病院、岩手医科大学病院、埼玉メデイカルセンター)、関連病院での研修を加えて、それぞれの特徴を活かした眼科研修を行い、日本眼科学会が定めた研修到達目標や症例経験基準に掲げられた疾患や手術を経験する。国立成育医療研究センター病院では、全国から幅広い分野の紹介患者があり、ほぼすべての眼科疾患を網羅している。
対象
医師免許証を有し、前期研修を修了している方で 、新たに後期研修医になる方
目標
- 専攻医は専門知識、専門技能、学問的姿勢、医師としての倫理性、社会性を身につけることを目標とする。
- 医師としての基本姿勢・態度、眼科 6 領域、他科との連携に関する専門知識を習得する。眼科6領域には、1)角結膜、2)緑内障、3)白内障、4)網膜硝子体・ぶどう膜、5)屈折矯正・弱視・斜視、6)神経眼科・眼窩・眼付属器が含まれる。
- 医学、医療の進歩に対応して、常に自己学習し、新しい知識の修得に努める。将来の医療のために、基礎研究や臨床研究にも積極的に関わり、リサーチマインドを涵養する。常に自分自身の診療内容をチェックし、関連する基礎医学・臨床医学情報を探索し、 Evidence Based Medicine (EBM) を実践できるように努める。学会・研究会などに積極的に参加し、研究発表を行い、論文を執筆する。
- 患者への接し方に配慮し、患者や医療関係者とのコミュニケーション能力を磨く。誠実に、自律的に医師としての責務を果たし、周囲から信頼されるように努める。診療記録の適確な記載ができるようにする。医の倫理、医療安全等に配慮し、患者中心の医療を実践できるようにする。臨床から学ぶことを通して基礎医学・臨床医学の知識や技術を修得する。チーム医療の一員としての実践と後進を指導する能力を修得する。
カリキュラム
- 専門研修1年目:眼科医としての基本的臨床能力および医療人としての基本的姿勢を身につける。医療面接・記録:病歴聴取、所見の観察、把握が正しく行え、診断名の想定、鑑別診断を述べること が出来るようにする。検査:診断を確定させるための検査の意味を理解し、実際に検査を行うことが出来るようにする。治療:局所治療、内服治療、局所麻酔の方法、基本的な手術治療を行うことが出来るようにする。
- 専門研修2年目:専門研修1年目の研修事項を確実に行えることを前提に、眼科の基本技能を身につけていく。
- 専門研修3年目:より高度な技術を要する手術手技を習得する。学会発表、論文発表を行うための基本的知識を身につける。後進の指導を行うための知識、技能を身につける。
- 専門研修4年目以降3年目まで の研修事項をより深く理解し自分自身が主体となって治療を進めていけるようにする。後進の指導も行う。
4年間の研修期間中、1〜2年目の1年は専門研修基幹施設で、残りの1年は岩手医科大学または埼玉医科大学の連携施設で地域医療を含む研修を受け、3年目以降は専門研修基幹施設および地域医療を担う病院で1年研修し、1年は連携施設で研修を受ける。これに適宜関連病院での研修が加わる。
国立成育医療研究センター病院は小児から成人まで扱っており、一般診療とともに難治性疾患の高度医療も行っている。症例数が豊富で、手術件数も 多く、全身病の症例も多いことから、眼科診療の基本から稀少疾患、難治例まで広く学ぶことができる。はじめの2年のうち1年間は、症例の豊富な連携施設で成人の症例、地域医療を主に研修する。3年目から当センター、連携施設・関連病院を含む他の病院での研修が加わる。不足すると思われる成人疾患の高度な専門技術については、これを専門とする連携施設の埼玉医科大学、岩手医科大学などでの研修を受け、さらに他の大学病院を関連施設として、見学、短期研修、症例検討 会によって研修の内容を深める。