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手術用ロボット寄付プロジェクト ~成育が、「今と未来」の子どもと小児外科医療を救う~

ロボットプロジェクトバナー

最先端の技術で子どもの未来を幸せなものにしたい。
世界最高レベルの手術を日本全国の子どもたちへ届けたい。

ロボット手術という言葉を聞いたことがあるでしょうか?初めて聞く方にとっては、近年発展の目覚ましいAI(人工知能)を搭載したロボットが、自らの意思で自動的に手術をするような映画や漫画の1シーンを想像されるかもしれません。しかし現在のところ、実際の臨床で一人前の外科医のような働きをするロボットは開発されていません。正確にはロボット支援下手術と言い、外科医がコンソールと呼ばれるモニターのついた指令スペースに座って操作を行うと、ロボットアームと呼ばれる実際に患者さんに触れて処置を行うパーツがその動きを正確に再現するというシステムで、低侵襲な内視鏡手術を支援するために開発されたものです。
ロボットの操作は直感的に行うことができ、ロボットアームには手振れ防止機能があるだけでなく多関節であるため、複雑な操作を容易に行うことが可能です。手術支援ロボットを用いることで、人間の手で行うよりも精緻な動きによる安全な手術が実現できると言われています。そのため国内では、すでに成人外科領域において多くのロボットが導入されており、標準術式になっている疾患もあります。
このような手術支援ロボットは、繊細さが要求される小児外科領域において特に威力を発揮するもので、小児医療にこそ必要なものと考えています。しかし、初期導入費だけでなく維持費が高額なため、日本国内の小児病院で導入した施設はまだありません。一方、海外に目を向けると中国や韓国ではロボット手術によってすでに多くの患者さんが治療を受けています。
私たちは近い将来、小児領域においてもロボット手術が当たり前の時代が来ると考えています。「最先端の技術で子どもの未来を幸せなものにしたい。世界最高レベルの手術を日本全国の子どもたちへ届けたい」という思いから、手術ロボット導入に向けた寄付のお願いをさせていただくことを決意いたしました。
ご賛同いただける皆さまからの温かいご支援を、何卒よろしくお願いいたします。

小児外科系専門診療部 小児外科 診療部長
石丸 哲也

※ご寄付申込みフォームの「9.ご寄付を希望する基金」で、「成育基金(アイノカタチ基金)」をお選びください。
※寄付金が2025年10月1日までに目標金額4.5億円に達しなかったときは、この寄付金が手術用ロボットプロジェクトではなく、アイノカタチ基金の他の目的に使用される場合もあります。




小児医療の課題

症例数の少なさからくる、医療レベルの低下

小児医療は、今、少子化という大きな壁に直面しています。小児患者はもともと成人に比べて少なく、それに伴って症例数も少ない現状があります。少子化によってさらに症例数が少なくなると、その疾患の患者さんの治療を行ってから、次に同じ疾患の患者さんに出会うまでに数年かかるということ起きてきます。こうなると、小児外科医は治療や手術の経験を十分に積むことができず、将来的な技術力の低下、医療レベルの低下を引き起こしてしまいます。
こういった課題を解決するためには、小児外科医が少ない症例数でも早く技術習得できる環境を整えていくことが必要です。

お金のかかる小児医療

小児医療は、成人の医療と比べて"お金がかかる医療"であることをご存じでしょうか?例えば、血液検査で採血する時、成人だと検査室に一人で入り、椅子に座って看護師から採血されるのを待つだけですみます。しかし、子ども場合、採血をする際に椅子に座ってじっとしていられない子や、泣いてしまう子も多くいます。その場合、お子さんを抱っこする人、採血する腕を押さえる人など、採血をする看護師以外にも多くの人手を要します。また、X線撮影(レントゲン)などの放射線検査の際も同様です。検査ではじっとしていないと正確に撮影ができないため、子どもの体を押さえておくために、放射線技師が放射線を防ぐ重たい鉛の防護具をつけて子どもと同じ検査室に入って作業しています。
こういった患者さん1人に対する人的なコストだけではなく、子どもたちが少しでも安心して楽しく病院で過ごせるように医療機器や施設を装飾したり、子どもたちが主体的に病気と向き合えるようにチャイルド・ライフ・スペシャリストやファシリティドッグもサポートしています。しかし、これらの取り組みには診療報酬としての加算がありません。さらに、少子化の流れによって病院としての収入も減る中、さまざまな医療機器の更新や新規導入に踏み切れない現状があります。

小児ロボット手術の実績が少ない

手術用ロボットは、低侵襲で回復が早いなどのメリットがあると言われています。しかし、導入されている小児病院は国内にはまだなく、現在小児の手術で使われている事例はほとんどないのが実情です。
当センターは、子どもたちに先進的で高度な医療を提供する「国立高度専門医療研究センター」として手術用ロボットの導入を進めることで、これまで検討されてこなかった小児にロボット手術を行う際の特徴、小児だからこそ配慮しなければいけない点などを見極め、報告し、広めていくことが使命だと考えています。
そうすることによって、より安全に子どもたちが低侵襲のロボット手術を受けられるようになるだけではなく、全国の小児病院に手術用ロボットが広がっていくきっかけにもなります。
また現在、公的医療保険の対象となっていないロボット手術については、先進医療として安全性に配慮しながら症例数を積み重ねていきます。こういった、将来、公的医療保険の対象となるよう取り組みを続けることで、より幅広い手術を子どもたちに安全で低侵襲な手術を提供できる「未来の小児医療」を作っていきたいと考えています。

諸外国から遅れをとる可能性

日本の周産期・小児医療は世界トップレベルの技術力を誇り、医療先進国とも言われています。しかし、このままいけば日本の小児医療は諸外国から遅れをとる可能性があります。
現在、成人の医療現場では手術用ロボットの導入が世界的な流れとなっており、その流れは小児医療にも押し寄せています。アジアを見ると、既に中国や韓国で手術用ロボットを導入している小児病院が増え始めていますが、日本で導入している小児病院はまだ1つもありません。この状況が続けば世界的な流れから取り残され、世界に誇る「日本の医療」という魅力が、小児外科領域においてなくなってしまう可能性があります。

手術用ロボットを導入するメリット

子どもたちにとってより安全な手術が可能に!

手術用ロボットは、執刀医の指・手の動きを正確に伝え思い通りに操ることができるだけではなく、手術を行うアーム部分に多くの関節があるため、人間の手よりも広い可動域で動かせ、人間ではできない精緻な動きも可能となります。また、カメラでいう所の手振れである"手の震え"を自動的に取り除くこともできるため、より繊細で、より正確な手術が可能です。
さらに、医師の目となるカメラにも関節が取り付けられていることにより、直接目で見ることができないような角度・方向から患部を見ることができますし、より近くで見て(ズームアップして)手術することもできます。
また映しだされるのは、高画質・3D映像のため、患部を立体的に捉えることができ、まるで術者が体の中に入っているように手術することができます。医師がこれまで培ってきた技術に、こういったロボット技術が加わることで、子どもたちにとってより安全な手術を行うことが可能になります。

子どもたちの負担を減らせる(低侵襲性)

手術用ロボットを使うメリットの1つに、低侵襲性があります。「侵襲」とは、採血の時に針を刺したり、手術の際にメスで身体を切ったりするなど、患者さんに何らかの負担を与えることを意味する医学用語です。
手術用ロボットは、通常の手術のようにお腹や胸などを大きく切って医師が直接目で見て手術を行う方法とは異なり、ロボットアームを体内に入れる数センチ程度の傷ですむため、傷口が小さくなります。傷口が小さいと、その分、患者さんの出血量や術後の痛みが少なくすんだり、回復が早くなることが期待できます。
言い換えれば、「子どもたちにとって優しい手術」を行うことができるようになります。

未来に向けた小児医療のレベルアップ

当センターの小児外科では既に、低侵襲手術として「内視鏡手術」を多くの疾患で行っていますが、次の世代への技術の継承には長期間に渡る訓練や経験が必要です。
しかし少子化によって、小児における症例数がさらに少なくなると、医師は治療や手術の経験を十分に積むことができず、技術習得までの時間が、これまでよりもさらに多くかかってしまうことが懸念されます。
この問題を解決する方法として考えられるのが、手術用ロボットです。手術用ロボットは人間の手以上の動きができ、これまでの手術では見ることができなかった視点・大きさで患部を見ることができるといった特徴があります。これは、人間の能力を拡張し、医師の技術力を大きく引き出してくれることに繋がります。また、カメラで写し出される映像は手術室にいる多くの医療従事者と共有することができるため、手術に対するさまざまなアドバイスを受けることもできるようになります。こういった手術用ロボットだからこその特徴は、少ない症例数の中でも医師の技術習得までの時間を短縮させ、これから生まれてくる子どもたちが病気になった時に提供される小児医療のレベルを高くキープし、さらに引き上げてくれる可能性があります。
(※画像は、内視鏡手術の様子です。)

最先端かつ高度な小児医療を、日本全国へ届けられる

少子化によって子どもの数は減っており、ただでさえ症例数の少ない小児の疾患では、その疾患の手術を経験したことのある医師がいなくなるという状況を招きかねない事態になっています。それは、都市部に比べて人口の少ない地域でこそ深刻な問題です。
手術用ロボットは遠隔でも操作が可能なため、機器と環境が整っていれば、小児外科の経験と知識が豊富な医師が、他の地域の病院にいる患者さんを手術することもできるようになります。これは、医療格差をなくし、どこにいても同じように医療を受けられる"医療の均てん化"にも貢献することができます。
まずは、その先駆けとして、当センターが手術用ロボットの導入を目指しています。

※ご寄付申込みフォームの「9.ご寄付を希望する基金」で、「成育基金(アイノカタチ基金)」をお選びください。
※寄付金が2025年10月1日までに目標金額4.5億円に達しなかったときは、この寄付金が手術用ロボットプロジェクトではなく、アイノカタチ基金の他の目的に使用される場合もあります。



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