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頻脈性不整脈の胎児治療が保険診療で実施可能に ~薬剤を用いた胎児治療としては日本初~

成人や小児では頻脈性不整脈の治療に用いられている3つの薬剤(ジゴキシン・ソタロール・フレカイニド)が、2024年9月より胎児における頻脈性不整脈の治療薬としても保険診療で使用できることになりました。
胎児頻脈性不整脈は、胎児の心臓の拍動が正常よりも速くなり、その状態が続くと、心臓が弱り、全身がむくみ、亡くなってしまう場合もある希少疾患です。そのため、国立成育医療研究センターや国立循環器病研究センターをはじめとする国内15施設が多施設共同臨床試験において、母親に抗不整脈薬を投与し胎内で治療するプロトコール治療(研究計画に基づいた治療方法)を2010年より行ってきました。
その結果、国内臨床試験の成績、国内ガイドラインへの掲載、国内における使用実態などに基づき、胎児頻脈性不整脈に対する当該治療薬の適応外使用が、診療報酬の審査上は認められると厚生労働省より示されました。
外科的な治療ではなく、薬剤を用いた内科的な胎児治療が保険診療で実施可能になったのは日本で初めてで、胎児治療の分野において非常に大きな一歩となります。今後は母児ともに安全に胎児治療が受けられるよう、関連学会が連携して体制整備を進めていくことになります。

胎児頻脈性不整脈に対する胎児治療

【図:頻脈性不整脈の胎児治療】

関連論文・ガイドライン・レジストリ情報

関連論文➀

題名:Antenatal Therapy for Fetal Supraventricular Tachyarrhythmias: Multicenter Trial

著者:三好剛一、前野泰樹、濵崎俊光、稲村 昇、安河内 聰、川滝元良、堀米仁志、与田仁志、竹田津未生、新居正基、
萩原聡子、賀藤 均、清水 渉、白石 公、坂口平馬、上田恵子、桂木真司、山本晴子、左合治彦、池田智明(日本胎児不整脈班)
掲載誌:Journal of the American College of Cardiology
DOI:10.1016/j.jacc.2019.06.024.
プレスリリース:胎児頻脈性不整脈に対する世界初の多施設共同臨床試験

関連論文➁

題名:Neurodevelopmental outcomes after antenatal therapy for fetal supraventricular tachyarrhythmias: 3-year follow-up of a multicenter trial
著者:三好剛一、前野泰樹、松田直、伊藤裕司、稲村昇、堀米仁志、与田仁志、金基成、塚原紗耶、寺町陽三、高橋邦彦、
豊島勝昭、中井陸運、桂木真司、白石公、黒嵜健一、池田智明、左合治彦(日本胎児不整脈班)
掲載誌:Ultrasound in Obstetrics & Gynecology
DOI:10.1002/uog.26113
プレスリリース:胎児頻脈性不整脈で胎内治療を受けた子どもの予後を調査 出生後3歳までは、おおむね良好な予後を確認

ガイドライン

題名:日本小児循環器学会胎児心エコー検査ガイドライン(第2版)
作成主体:日本胎児心臓病学会、日本小児循環器学会
掲載誌:日本小児循環器学会雑誌

胎児心疾患レジストリ

運営主体:日本胎児心臓病学会
代表施設:国立循環器病研究センター
データセンター:国立成育医療研究センター
URL:日本胎児心臓病学会 胎児心疾患レジストリ

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

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koho@ncchd.go.jp

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