気管切開しても声は出せますか

「気管切開をすると声が出ないんですよね」とよく聞きます。
外来に通ってくる気管切開の患者さんと普通に会話している私にとっては、非常に違和感のあるお話です。
気管切開は、声を出す声帯（声を出してのどを手で触ると一番震える部分）より下の位置で行われ、声帯への影響はありません。
声を出すには、声帯に空気を流す必要があります。ふつうは息を吐いて声を出しますが、中には息を吸いながら声を出す子もいます（自分でやってみるとなかなか難しいですが、できないこともありません）。
気管切開に入れる管（くだ；気管切開チューブ）は、気管より少し細いものを選びます。
気管切開をした方の空気の出し入れは、気管切開部がおもになりますが、チューブのわきの気管からも空気の出し入れは行われます。
そのため、ふつうよりは弱めで、金属性の声とはなりますが、会話に支障をきたすことはあまりありません。
うまく音が出せないことが予想されるのは、声帯およびその付近に問題がある場合、赤ちゃん・こどもではふつう使いませんが、何らかの理由で、いつものチューブからカフつき（気管切開チューブのまわりに空気で膨らます袋がついたもの）のチューブに変え袋を膨らませ、気管とチューブの隙間をほとんどでなくした場合ぐらいでしょうか
気管切開の手術がおわり傷口が落ち着いたら、児と一緒に声を出す練習も少しずつはじめましょう