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(神経内科の患者では)どういった病気・どのタイミングで気管切開を考えるのか?

脳性麻痺のお子さん、特に捻れが強い方。

脳性麻痺のお子さんで首の捻れの強い方は、そのために口〜のど〜気管という息の通り道が狭まり、息を吸いづらくなることがあります。そうなると、息を吸おうとする時に空気が狭いところを通り抜ける音が聞こえたり、胸の動きが荒くなったりします。鼻や口からエアウエイと呼ばれる中空の管をのどの辺りまで入れることで、空気の通り道を確保できることもありますが、それがうまく行かない場合は、気管切開をして空気の通り道をつくり、息を吸いやすくすることを考えます。
 また、こうした方では背骨がねじれて、胸の形が変形していることも多いです。そうなると肋骨の動きが制限されるため、今度は胸の問題で息を吸いづらくなります。こちらに関しては胸の問題なので気管切開だけでは解決できず、呼吸を助けること、つまり人工呼吸器が必要になることがあります。


筋肉、特に呼吸に使う筋肉が弱い病気(先天性ミオパチー、脊髄性筋萎縮症など)のお子さん

こうした方は息をすったり吐いたりする力が弱いので、十分な酸素を取り込み、不要な二酸化炭素を吐き出すことができません。また咳をする力も弱いので、ちょっとした風邪でも痰がたまってしまい辛くなることがあります。
 それを助けるために本来必要なのは呼吸の補助であり、気管切開は直接は必要ありません。最近では非侵襲的陽圧換気療法と呼ばれる、鼻・口マスクを通じて行う人工呼吸(マスクから空気がたくさん入ってきて、その後少し入ってきて、を繰り返すことで呼吸が助けられます)が行われるようになってきました。また咳介助装置と呼ばれる、やはりマスクを通じて空気が肺に入ってきて、その後一気に吸われる、いわば痰の掃除機のような機械ができており、咳を助けてくれます。これらの機械を使うことで気管切開無しに生活されている方もいらっしゃいます。  ただ、この方法だと、マスクが
外れた場合や鼻が詰まっている場合に機械による呼吸の補助がうまくいかなくなることがあります。また、嘔吐してしまった場合には急いで吸引をしないと空気の通り道がつまってしまい窒息に至る危険性があります。  そうした危険性を減らし、呼吸補助のために確実で安全な空気の通り道を確保する目的で、気管切開をすることがあります。当院(?)では気管切開をすることが多いですが、このあたりは各病院ごとに方針がことなり、ご家族の皆様もいろいろなお医者さんとよく相談した上で方針を決定されるのが良いでしょう。


急性脳症
脳症というのは元気なお子さんにある日突然、発熱やけいれん、意識の障害が生じ、その後に後遺症を残すことが多い病気です。脳症にも様々な種類がありますが、中には急性期が1ヶ月以上続く重症のものもあります。その間は意識がはっきりせず、自分の唾液をうまく飲み込むことが出来ずに肺に吸い込んで肺炎を起こしてしまうことがあります。それを防ぐために、気管内挿管といって口や鼻から気管に管を入れることをしますが、そのままだと身動きが取れないし、また邪魔なものが口、鼻やのどにあるので苦しいです。通常、2週間以上にわたり気管内挿管が続く時は気管切開を考慮します。
 脳症の場合、急性期を過ぎると、程度は患者さんごとに異なりますが、意識が改善することがあります。自分の唾液を飲み込めるようになると、気管切開を閉じる選択肢が出てきます。