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治験に関わる大切なこと
子どもに治験が必要な理由
子どもは「小さな大人」ではありません。
子どもと大人では体の大きさだけでなく、体の中の働きが異なり、子どもの薬を吸収する力、分解する力、排泄する力は大人と違います。
また、薬の効果と副作用の出方も必ずしも同じではありません。大人ではみられない副作用が子どもでみられることもあります。
例えば...
子どもに対して、薬の適正な量や使い方を明らかにするために、「子どもの治験」を行って、薬の効果と副作用を調べる必要があります。 |
「インフォームド・コンセント」と治験
「インフォームド・コンセント」とは、患者が治療を受けるにあたり、病気のことやその治療方針について十分な説明を受け、患者自身が理解・納得した上で判断し、その治療を受けることに同意する、ということです。これは通常の診察でも必要ですが、特に「治験」の場合は研究的な側面があるため、参加する患者の人権を尊重する点から、より欠かすことのできないことです。
治験の実施前には、医師が治験の目的や治験に使用する「薬の候補」の特徴(予想される有効性や副作用)、治験の方法などを詳しく説明し、説明内容の書かれた文書を渡しています。わからないことがあれば、どんなことでも遠慮なく質問して、十分に知る必要があります。このように、患者は医師から十分な説明を受け、よく理解した上で、強制されることなく、自分で治験に参加するかどうかを決めます。そして、納得した上で、患者が同意書に署名をして、治験が開始となります。適切なインフォームド・コンセントがされていない場合、治験は開始されません。
国立成育医療研究センターでは、参加する患者が未成年者の場合、法的な保護者の方よりインフォームド・コンセントを頂きます。また、子どもの年齢や発達に合わせて、わかりやすい言葉で、可能な限り治験に関する内容の説明を行います。その上で、保護者の方とは別に、子ども本人から「インフォームド・アセント」を得ることにしています。「アセント」とは、法的規制を受けない子どもからの了承(賛意)です。小学生以上の子どもには、大人と同様に意思確認書に署名をしてもらいます。これは子どもの意思を尊重するために、欠かすことのできないことです。
また、治験では1度同意した後でも、いつでも参加を取りやめることができます。
副作用について
どんな薬にも目的に合った効果とともに、期待しない作用が現れることもあります。薬による期待しない作用や、有害な反応のことを『副作用』といいます。どのような薬であれ、副作用は大なり小なり存在します。そのため、副作用をいかに防止するか、また副作用が出た場合には、いかに早期発見して適切に対処するかが、とても大切になります。副作用と思われる症状がみられた場合は、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。
治験では特に副作用に注意が払われます。医師も注意深く治験に参加した患者を診察しています。他の患者に起きた重大な副作用についても、医師には連絡されることになっており、必要に応じて治験に参加中の患者に連絡することもあります。また、副作用が認められた時には、速やかな処置が行われます。
国立成育医療研究センターでは24時間体制で、治験に参加中の患者に副作用やいつもと違う症状が見られた場合に対応しています。
治験のルールと治験に関わる人たち
治験のルール
治験に参加される方の人権や安全性を守るため、また「薬の候補」の有効性や副作用を科学的な方法で計画的に調べるために、GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)という厳密なルールが定められています。GCPでは、例えば次のように人権や安全性が守られています。
- 治験で得られた結果は、製薬会社からの申請を国が承認するために活用されたり、学会や論文で発表されることがあります。しかし、治験に参加した方のプライバシー(名前・住所等)に関する情報は厳重に守られ、個人を特定されることは決してありません。
- 治験に参加する方が適切に判断できるよう、説明文書に記載する項目はわかりやすい表現をする等、細かく規定されています。また、治験参加への同意は自由意思であり、1度同意しても自由に撤回できることが明記されています。
- 治験開始前には、治験審査委員会が治験の計画や内容の倫理的、科学的な妥当性について審査し、承認されてはじめて治験は開始されます。また、治験実施中も治験審査委員会では、安全性が十分確保され、適切に治験が行われているかを審査しています。
- 治験を実施する病院は、治験を行う上で十分な設備やスタッフを有していること、緊急時には必要なケアを行えること等、条件を満たしていることが求められています。
製薬会社や国(厚生労働省)は治験を実施する病院がGCPをきちんと守っているか確認しています。