研究対象疾患
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特発性低身長(SGAを伴わない)
【研究対象疾患】GH分泌不全、甲状腺機能低下症など成長障害と関連する内分泌学的異常がなく、明確な低身長のある症例が対象です。
*SGAを伴う成長障害については解析の流れが異なります。下記をご参照下さい。
*特徴的な骨格異常が明らかな場合は事前にご相談下さい。
【研究対象疾患に関する既存の知見】
特発性低身長は遺伝的異質性の高い疾患単位と考えられています。
当研究部における日本人患者を対象とした検討では、原因不明の低身長患者の3.8%おいてSHOXの変異(コピー数異常、遺伝子内変異)が認められました(Shima Het al., J Hum Genet2016)。また、SHOXに異常のない原因不明の低身長患者86名中4名がACAN変異を持つことを明らかにしています(Hattori A et al., Endocr J 2017)。
【研究目的】
臨床遺伝子診断・臨床像解析(遺伝子型-表現型相関解析など)、新規責任遺伝子の探索
【解析方法】
MLPAによるSHOXコピー数異常のスクリーニング(必要に応じてアレイCGH解析
次世代シークエンサーを用いた既知責任遺伝子(SHOX、ACANなど)の網羅的解析
必要に応じてエクソーム解析
SGA性低身長症
【研究対象疾患】
SGAとして出生し、生後2歳以降も低身長が持続する家系例の症例(身長SD-2.5 SD以下)、SGA出生および著しい低身長を認める症例
*特徴的な骨格異常、特徴的顔貌などが明らかな場合、多発奇形がある場合などは事前にご相談下さい。
【研究対象疾患に関する既存の知見】
当研究部ではこれまで210名の原因不明SGA性低身長患者を解析し、18名にインプリンティング異常症、5名に染色体構造異常を同定しています。
【研究目的】
臨床遺伝子診断・臨床像解析(遺伝子型-表現型相関解析など)、新規責任遺伝子の探索
【解析方法】
MS-MLPAによる、既知インプリンティング疾患責任DMR9種のメチル化異常スクリーニング
必要に応じてアレイCGH解析、メチル化アレイ解析(ビーズアレイ法)
次世代シークエンサーを用いた既知責任遺伝子の網羅的解析
必要に応じてエクソーム解析
インプリンティング疾患
【研究対象疾患】
Kagami-Ogata症候群、Temple症候群、Silver-Russell症候群、Prader-Willi症候群、偽性副甲状腺機能低下症、新生児一過性糖尿病、Angelman症候群、Beckwith-Wiedemann症候群
【研究対象疾患に関する既存の知見】
Silver-Russell症候群は臨床診断基準に基づき診断される疾患のため、遺伝学的原因は多様です。臨床診断基準、遺伝子診断基準、治療指針は2017年に国際的ガイドラインが発表されています(Wakeling EL et al. Nat Rev Endocrinol 2017)。当研究室で遺伝子解析を行った350名のSilver-Russell症候群患者さんの中では、主要な遺伝学的原因である H19-differentially methylated regionの低メチル化、および7番染色体母性片親性ダイソミーが33%に同定されました。また、10%の患者さんではSilver-Russell症候群と臨床像が類似した他のインプリンティング疾患や遺伝性疾患が同定されました。
臨床的にKagami-Ogata症候群を疑われた患者さんの71%において、遺伝子検査により診断が確定しています。
【研究目的】
臨床遺伝子診断・臨床像解析(遺伝子型-表現型相関解析など)、新規インプリンティング疾患の探索
【解析方法】
パイロシーケンシング法による、既知インプリンティング疾患責任DMR 9か所の包括的メチル化異常スクリーニング、
必要に応じてアレイCGH解析、メチル化アレイ解析(ビーズアレイ法)、次世代シークエンサーを用いた網羅的解析(エクソーム解析を含む)
性分化疾患(原発性性腺機能低下症、卵巣機能不全を含む)
【研究対象疾患】
46,XY DSD 男児における外陰部異常(ミクロペニス、停留精巣、尿道下裂など)
46,XX DSD 女児における男性化徴候(陰核腫大など)
【研究対象疾患に関する既存の知見】
46,XY DSD 男児の約15%において、AR、SRD5A2、NR5A1、MAMLD1などの既知責任遺伝子に変異が認められます。
【研究目的】
臨床遺伝子診断・臨床像解析(遺伝子型-表現型相関解析など)、新規責任遺伝子の探索
【解析方法】
次世代シークエンサーを用いた既知責任遺伝子(AR、SRD5A2、NR5A1、MAMLD1など)の網羅的解析
必要に応じてエクソーム解析
性成熟疾患(思春期早発症、中枢性性腺機能低下症)
【研究対象疾患】
中枢性性腺機能低下症(ゴナドトロピン欠損症、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症)
Kallmann症候群
中枢性思春期早発症(GnRH依存性思春期早発症)
【研究対象疾患に関する既存の知見】
中枢性性腺機能低下症/Kallmann症候群の約15%において、ANOS1 (KAL1)、FGFR1などの既知責任遺伝子に変異が認められます。思春期早発症の分子基盤については世界的にデータが少なく不明です。
【研究目的】
臨床遺伝子診断・臨床像解析(遺伝子型-表現型相関解析など)、新規責任遺伝子の探索
【解析方法】
次世代シークエンサーを用いた既知責任遺伝子(ANOS1、FGFR1、CHD7、PROKR2など)の網羅的解析
必要に応じてアレイCGH解析、エクソーム解析
先天性下垂体機能低下症(複合型)
【研究対象疾患】
複合型下垂体機能低下症(2系統以上の下垂体前葉ホルモンの分泌不全症)
頭頚部・中枢神経系の発生異常(Midline defect、septooptic dysplasiaなど)、奇形徴候を合併する例(CHARGE症候群など)を含む
*GH単独欠損症など単独ホルモン欠損症、中枢性尿崩症についてはご相談ください。
【研究対象疾患に関する既存の知見】
複合型下垂体機能低下症の大部分は単一遺伝子疾患ではありませんが、5%未満の症例においてOTX2、CHD7などに変異が検出されます。
【研究目的】
臨床遺伝子診断・臨床像解析(遺伝子型-表現型相関解析など)、新規責任遺伝子の探索
【解析方法】
次世代シークエンサーを用いた既知責任遺伝子(POU1F1、PROP1、LHX3、LHX4、OTX2、CHD7など)の網羅的解析
必要に応じてin vitro機能解析、エクソーム解析
先天性副腎皮質機能低下症(POR異常症を含む)
【研究対象疾患】
21水酸化酵素欠損症を除く、比較的稀なタイプの先天性副腎皮質機能低下症(POR異常症を含む)
その他の先天性副腎低形成症(NR0B1(DAX1)変異、IMAGe症候群、トリプルA症候群)
*21水酸化酵素欠損症の遺伝子解析についてはご相談ください。
【研究対象疾患に関する既存の知見】
「17OHPが高値ではない副腎皮質機能低下症」(先天性副腎低形成症やリポイド副腎過形成症を含む)の70%以上がなんらかの単一遺伝子疾患であることがわかっています。
【研究目的】
臨床遺伝子診断・臨床像解析(遺伝子型-表現型相関解析など)
【解析方法】
次世代シークエンサーを用いた既知責任遺伝子(CDKN1C、AAASなど)の網羅的解析
鑑別診断のためステロイドホルモン合成系に関わる分子群(STAR、NR0B1、NNTなど)を網羅的に解析(ただし21水酸化酵素欠損症の責任遺伝子CYP21A2を除く)
必要に応じてin vitro機能解析、エクソーム解析