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小児画像検査について

小児画像検査の正当化

相田 典子(日本小児放射線学会理事長, 神奈川県立こども医療センター放射線科部長)

画像診断の正当化とは

世界的に、子どもの画像診断の基本は正当化と最適化であると考えられています。正当化は本当に必要な検査を厳選して行うことです。

当たり前のことですが、子どもは大人より余命が長く、成長途上で細胞分裂が盛んなため画像診断に伴ういろいろな侵襲に対して感受性が高いのです。中でも大人より明らかに影響が大きいのは、放射線被ばくに伴う発がんリスクの上昇です。被ばくを伴う検査の中で、検査数、総線量ともに大きいのはCT検査ですので、CTの適応の正当化をきちんとすることが、子どもへの被ばくを抑制するという意味で重要です。例えばMRIや超音波検査のような被ばくのない検査に置き換える努力をするのも正当化ですが、かといって被ばくを怖れるあまり必要なCTを行わないのは本末転倒です。したがって、CT、MRI、超音波などの画像診断について専門の医師と担当医がよく話し合って最適な検査を決め、ご家族にも納得していただける説明をすることが最も良い方法です。


小児画像検査の最適化

井田 義宏(特定非営利活動法人 日本X線CT専門技師認定機構 代表理事, 藤田医科大学病院 放射線部 副部長)

画像診断の最適化とは

単純X線撮影やCT撮影など、医療で放射線を用いることは現代医療ではなくてはならないものです。安心して放射線を利用する際に「正当化」と「最適化」が行われます。先に述べられた「正当化」で検査の実施が判断された後に行われるのが「最適化」です。

最適化の具体的な説明の前に、現在の医療で使用されている単純X線撮影、X線CTなどのX線画像の特徴を説明します。現在のX線画像はほとんどデジタル化されていて、デジタルカメラのように撮影後に様々な加工が可能です。X線画像で 'きれい' な画像は、正確に細かく見えて、淡いものがくっきり見えることが求められます。

ただし、実際には「細かいものを見る」ことと「淡いものを見る」ことは相反します。例えば細かいものを見るためには、小さな物体を画像処理で強調させて見せる(高周波数協調処理)などの方法があります。この方法では画像のざらつき(画像ノイズ)が多くなるので、画像ノイズを低減させるためにX線量を増やなければなりません。また、画像ノイズを低減させる画像処理には平滑化処理がありますが、これは画像をボカして細かいものが見えにくくなってきます。

ALARAの概念

さて、本題の最適化についてです。先ほどの説明は、画質を良くするには放射線被ばくが増加すると言い換えられます。これに対して臨床的に妥当な画像まで画質を調整して必要十分なX線量で検査を行うことを「最適化する」といいます。最高の画質を得るのではなく、必要十分な画質を求めるということです。専門的には国際放射線防護委員会が1977年勧告で示したALARA(as low as reasonably achievable"の略語。通称アララ)という放射線防護の基本的概念が普及しており、放射線防護の最適化として「すべての被ばくは社会的、経済的要因を考慮に入れながら合理的に達成可能な限り低く抑えるべきである」という意味です。

最適化を進めるには「何が見えなければいけないか」という臨床的目標と、撮影するパラメータが画質をどのように変化させるかという機器工学・画像工学的な知識、さらにはX線照射量とその影響の放射線計測・防護の知識の3種類の情報を統合することが必要です。さらに近年、反復再構成やディープラーニング技術の応用で最適化に効果的なツールが増えてきたので、それらを十分に理解し常に新しい情報のもとで最適化する必要があります。

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