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医事法制研究部

研究部紹介

医事法制研究部は、2024年7月から始動した新しい研究部です。
医学研究およびその成果である医療の進歩は、言うまでもなく、人々の生命・健康の保持・増進に多大な貢献をしています。そして、病気で苦しんでいる人がいる限り、これらが発展していくことが望まれます。しかし、同時に、医学研究および医療は社会の中で行われる営みであり、社会との調和も必要になります。なかでも、成育過程にある子どもに関しては、安心して自分の力を伸ばすことのできる社会環境が重要であり、この点は医学研究及び医療の推進においても考慮しなければなりません。私たちの研究部では「法律・制度」を基軸に、医学研究および医療が社会と調和していくための調査研究、政策提言、情報発信などを行います。

研究テーマ

当研究部では、2つのテーマを掲げて、研究を行っています。

1.先端的な医学研究や医療技術による倫理的・法的・社会的課題(ELSI)の抽出とその解決に向けた法制度研究

先端的な医学研究や医療技術は、とりわけ子どもの誕生にかかわる「生殖」の領域において、倫理的・法的・社会的課題(ELSI)をもたらすことがあります。例えば、体外受精技術は1978年にイギリスで誕生しましたが、新しい方法での家族形成を可能にしたことから、当時はさまざまな倫理的・法的・社会的課題が浮上しました。現在は、体外受精技術を用いて作成した人の受精卵にゲノム編集を行うことや、ヒトiPS細胞から配偶子を作成して受精させることなどについて、倫理的・法的・社会的課題の検討が必要とされています。私たちは「現在及び未来の子どもたちにどのような影響をもたらす可能性があるか」という視点を持ちながら、先端的な医学研究や医療技術に伴う倫理的・法的・社会的課題を抽出し、その解決に向けた法制度の在り方について研究しています。


具体例:

  • 生殖補助技術のELSI
  • ヒト胚及びヒト配偶子研究のELSI
  • 異種移植研究のELSI

2.医学研究が倫理的に適正に行われるための法制度研究及び研究支援

医学研究の進展において、人を対象とする研究は重要です。しかし、医学研究は、研究対象者への最善の医療提供を目的とするものではなく、かつ、負担やリスクを負わせてしまう可能性を含んでいます。そのため、研究の実施においては、リスクとベネフィットのバランスの妥当性や、研究対象者への十分な説明など、さまざまな観点から研究対象者を保護することが必要になります。加えて、研究対象者が子どもの場合には、成人の場合とは異なる特有の配慮も必要になります。私たちは「研究に協力してくださる人々を十分に保護するためには何をするべきか」という視点を持ちながら、医学研究が倫理的に適正に実施されるための法制度の在り方について研究しています。また医学研究の実践的支援を通じて、研究対象者の保護にも取り組んでいます。


具体例:

  • 新生児・小児の研究参加に関する法的課題
  • 成育医療研究の推進に向けた法的・倫理的支援
  • 研究者に対する法的・倫理的支援
  • 倫理審査委員会の運営
  • 倫理審査の質の向上

REC-EDUCATION

人を対象とする生命科学・医学系研究に関する法律や政府倫理指針では、倫理審査委員及び研究者等に教育・研修の受講を求めています。当室では、倫理審査委員や研究者等が倫理審査や研究実施において必要な倫理的視点を学べるよう、平成28年度よりAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の支援を受けて倫理研修用動画教材REC-EDUCATIONプログラムを開発しています。無料でご視聴いただけますので、是非ご活用ください。

「一般の立場」倫理審査委員バンク

倫理審査委員会において、「一般の立場」倫理審査委員は、研究対象者の代弁者としての役割を担う重要な委員です。私たちは一定の研修を受け、且つ、「一般の立場」倫理審査委員になることを希望する人を登録し、委員の募集を行っている倫理審査委員会の情報を提供する活動をしています。この活動を通じて、倫理審査の質の向上を目指しています。

スタッフ

部長

神里 彩子 (部長)

研究員

高橋 佳子(研究員)
洪 賢秀(研究員)

部室員

岡田 天子(事務補助員)

業績

2023

書籍

  • 神里彩子「第8章 個人情報の取扱いに関する基礎知識」飯嶋久志、氏原淳、内田直樹、神里彩子、佐藤愛美『超簡単!!研究倫理審査と申請 第2版~適正な臨床・疫学研究の推進に向けて~ 』(薬事日報社、2023年)
  • 神里彩子「第5章 臨床研究の審査体制-現状と今後の在り方」甲斐克則編『臨床研究と医事法(医事法講座 第13巻)』(信山社、2023年)
  • 神里彩子・武藤香織編『医学・生命科学の研究倫理ハンドブック第2版』(東京大学出版会、2023年)

論文

  • Hideki Yui, Ayako Kamisato, Kaori Muto, Yoshimi Yashiro, Saori Watanabe, Yukitaka Kiya, Kumiko Fujisawa, Yusuke Inoue, Zentaro Yamagata. Attitudes towards human fetal tissue research: Survey of researchers and the public in Japan. Regenerative Therapy, Volume 24, pp.78-84. 2023.
  • Ayako Kamisato, Hynsoo Hong, Suguru Okubo. Public Awareness of Medical Research Terminology in Japan, and the Accuracy of Physicians' Predictions regarding that Awareness. ABR 15, pp.397-416. 2023.
  • Yohei Iimura, Mitsuko Nakazawa, Yukari Tsuru, Hitomi Togashi, Tomoe Honda, Keisuke Baba, Masaaki Ishibashi, Chieko Sasuga, Naoki Furukawa, Tomoko Sato, Yasuo Matsubara, Ayako Kamisato, Eiko Yoshii, Seiichiro Kuroda, Narikazu Boku. Evaluation of clinical effects of a multidisciplinary-collaborated cancer support team for gastrointestinal cancer chemotherapy: prospective observational study protocol of M-CAST study. Research Square; 2023.
  • Keita Kinoshita, Naoki Ozato, Yoshiko Takahashi al. Association of the COVID-19 pandemic with changes in objectively measured sedentary behaviour and adiposity. International Journal of Obesity 47. pp.375-381. 2023.
  • Kyi Mar Wai, Rei Akuzawa, Yoshiko Takahashi al. Effects of body compositions on the associations between ferritin and diabetes parameters among Japanese community dwellers, Journal of Trace Elements in Medicine and Biology 78. pp.1-7. 2023.
  • Ryoma Ito, Satoru Mizushiri, Yoshiko Takahashi, et al. Two Distinct Groups Are Shown to Be at Risk of Diabetes by Means of a Cluster Analysis of Four Variables, J. Clin. Med. 12 (3) 810. 2023.

2022

  • Hideki Yui, Kaori Muto, Yoshimi Yashiro, Saori Watanabe, Yukitaka Kiya, Ayako Kamisato, Yusuke Inoue, Zentaro Yamagata. Comparison of the 2021 International Society for Stem Cell Research (ISSCR) guidelines for "laboratory-based human stem cell research, embryo research, and related research activities" and the corresponding Japanese regulations. Regenerative Therapy. 21. pp.46-51.2022.
  • 神里彩子, 有澤和代. 「提供試料から生成された研究データの産業利用に対する一般市民の意識ーアンケート調査結果からの考察ー」臨床薬理 53(6) pp.235-242 (2022年11月)
  • 神里彩子「「人を対象とする生命科学・医学研究に関する指針」におけるゲノム研究の取扱い―ゲノム指針特有規定のその後」医事法研究第6号(甲斐克則責任編集、信山社、2022年12月)
  • 神里彩子「再生医療の倫理」日本医師会雑誌第151巻第4号(日本医師会、2022年7月)
  • 神里彩子「医学研究・先端医療技術に関する政府指針」甲斐克則・手嶋豊編『医事法判例百選 第3版』別冊ジュリストNo.258(有斐閣、2022年7月)
  • 由井 秀樹, 武藤 香織, 八代 嘉美, 渡部 沙織, 木矢 幸孝, 神里 彩子, 井上 悠輔, 山縣 然太朗. 「国際幹細胞学会(ISSCR)2021年版ガイドラインにおける実験室で行うヒト幹細胞、胚関連研究の取扱い 日本の関連指針との比較検討」CBEL Report(2433-8443)4巻2号 pp.13-33(2022年3月)

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