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研究内容

研究内容

私たちは成育疾患の病態解明や疾患の原因遺伝子の同定を目指しています。胎児の発育に必要なゲノムの機能や遺伝子の発現が正常な状態から逸脱すると先天性 異常になることがあります。そのため、まず胎児の正常な発育に必要なゲノムの機能の解析と遺伝子発現状態のモニターを基礎生物学の研究手法により行ってい ます。そこから得たデータを基に先天性異常の原因を探っています。胎児の発育を解析するため、発生工学技術が確立していて、遺伝学の歴史があり、遺伝子研 究も進んでいるマウスをモデルに研究しています。
また、私たちは新たな解析手法やシステムの開発を行い、そこから新たな知見を見出すことにも挑んでいます。

性決定、性分化の遺伝子発現ネットワークの解明

ヒトやマウスでは受精の瞬間に雄と雌の性がY染色体の存在により決まりますが、個体の形態としての性差は胎児期の生殖腺で最初に現れます。胎児期の初期の生殖腺は将来精巣にも卵巣にも分化することのできる組織ですが、Y染色体上の性決定遺伝子でありますSryが 存在すれば精巣、存在しなければ卵巣へと分化し、精巣ができることによりそこから産出されるテストステロンにより個体は雄になっていきます。元々は同じ細 胞が異なった組織へと分化するため、性の分化、決定は細胞分化を研究するのに適した実験系です。私たちはどのような分子メカニズムにより雄と雌になるのか を 解明することを目標にしています。

ゲノムインプリンティングの制御機構の解析

性決定遺伝子であるSryの 発現により胎仔期の生殖腺は将来精巣になるか卵巣になるかが決められますが、生殖腺の環境により生殖細胞は精子、卵子へと分化していくことが可能になりま す。精子と卵子は異なった環境である精巣、卵巣に存在し、それぞれのゲノムは異なった状態になります。このために、全く同じ塩基配列をもつ遺伝子でも精 子、卵子のどちら側から伝達されるのかによって将来胎仔、成獣になったときに発現したりしなかったりします。この現象はGenomic imprintingと呼ばれ、エピジェネティクス(後成遺伝学)の研究分野の一つです。私たちはマウス12番染色体に存在するDlk1-Dio3領域と 呼ば れるインプリント領域を中心にエピジェネティクス研究を進めていきます。

non-coding RNAの発現と機能解析

現在はマイクロRNAを中心に組織特異的、発現時期特異的なnon-coding RNAの発現メカニズムと機能の解析を行っています。マイクロRNAの疾患との関わりついても明らかにしていきたいと考えています。また、マイクロRNA以外のnon-coding RNAについても研究中です。

遠位エンハンサーの同定と機能解析

ゲノムはタンパク質をコードしている領域が少なく、残りのほとんどは機能不明の領域です。その機能不明の領域にも多数の病気の原因や正常な発生に必要な配 列が存在しています。私たちは、トランスジェニックマウスやノックアウトマウスを作製することにより、遺伝子の発現調節に関与する、遺伝子から遠く離れた位置に存在するエンハンサーの同定と機能解析を行っています。

ゲノム編集による新規モデルマウスの作製

新規モデルマウスの作製を目指し、最近話題のTALENやCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集技術を用いて遺伝子改変マウスを作製しています。私たちは日本で初めてTALENによるノックアウトマウスを報告しました(タッチの差で世界最初のTALENによる最初のノックアウトマウスとはなりませんでしたが...)。単なるノックアウトマウスの作製だけでなく、点突然変異の導入、同時多数遺伝子のノックアウト、領域の決失、変異の修復(ゲノムの治療)その他多様な技術の開発を行っています。

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