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国際放射線防護委員会(ICRP) 2023 Tokyoに参加して
2023年11月7日から9日の3日間、東京のグランドニッコー東京 台場で国際放射線防護委員会(ICRP) 2023学術集会が開催されました。ICRP(International Commission on Radiological Protection)は、専門家の立場から人および環境の放射線防護に関する勧告を行う非営利の国際学術組織です。第1から第5専門委員会(放射線の影響、医療分野における防護、委員会勧告の適用、放射線の線量、環境への防護)に分かれています。テレビのニュースや報道番組でも名前を聞く機会のある、IAEAやWHOと並ぶ世界的な放射線防護における権威です。
今回東京で開催されたICRP国際会議は公式X(旧Twitter)によれば現地参加の人数は600名、過去最大のイベントだったようです。3日間の開催内容は多岐にわたり、広島、長崎の原爆の影響に対する長期的な調査、福島第一原発事故に関する様々な報告など放射線物理や基礎医学、放射線治療、医療被ばくなど討議が行われました。 東京でこのような国際的なイベントが開催されるということもあり、国立成育医療研究センター放射線診療部からも「Justification and Optimization of Pediatric CT in prefectures around Tokyo: 関東甲信越での急性虫垂炎患児に対する小児CTの正当化と最適化の調査結果」の学術研究結果をエントリーしポスター発表してきました。
学会プログラムによれば世界各国から351題の一般演題(ポスター発表のみ)が採択され、オンラインで閲覧できます。またそのうち約半分の160近い発表は学会会場に掲示されました。 PIJONは小児の医療放射線被ばくを考えるサイトであり、PIJONにとってICRPはWHOとならびその世界の総本山的な組織です。
今回PIJONと関わりの深かった学会のセッションは自分たちが演題をエントリーした医療被ばくの正当化(Justification)です。検査の『正当化』とは本当に必要な検査だけを行い、不必要な放射線検査はなるべく避けるように努めることを意味します。 私達の調査では、関東甲信越地区の救急病院で小児急性虫垂炎の患児に対しては77%が最初に超音波検査を選択し、CT検査の被ばく線量は約半数が最新の日本の診断参考レベルに立脚していたことがわかりました。つまり『正当化』と『最適化』が正しく行われていたという内容です。セッションの冒頭で私達の演題ポスターも紹介されました。
また今回のICRP2023に合わせて、日本放射線技術学会と日本診療放射線技師会の合同企画によるサテライトイベントが開催され、小児生殖腺防護に関するレクチャーとシンポジウムが行われました。
(投稿 PIJON代表 宮嵜 治 2023年11月19日)