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ICRP2023 日本診療放射線技師会(JART)-日本放射線技術学会(JSRT)共催 サテライトイベントに参加して

2023年11月12日(日)にグランドニッコー東京台場において、日本診療放射線技師会(JART)と日本放射線技術学会(JSRT)との合同企画として、第7回ICRP国際シンポジウム2023(ICRP2023)サテライトイベントが開催されました。
このサテライトイベントのテーマは、国内外の医療放射線防護で話題となっている「生殖腺防護」。特に、X線撮影時の生殖腺防護プロテクターの使用中止に関する講演と討論が行われました。私もJSRTの「我が国の小児股関節撮影における生殖腺防護検討班」の代表を務めていたこともあり、シンポジストの一人としてこちらのイベントに参加しました。
基調講演では,ICRP第3委員会の委員であるMarie Claire Cantone先生より、X線撮影時の生殖腺防護シールドを使用する習慣を変えていくためには、医療放射線に関係する全ての関係者が放射線防護について良好なコミュニケーションを取ること、さらに医療従事者は放射線防護に関する基本原則である「正当化の原則」、「最適化の原則」、「線量制限の原則」の理解は絶対的な前提条件だが、さらに倫理的訓練がなければ十分でないと話されました。

講演で触れられた倫理的問題とは何を意味しているのかと考える方も多いと思います。ICRPは倫理的問題の意味として、放射線防護体系は「善行/無危害」、「慎重さ」、「正義」、「尊厳」の4つの中核となる倫理的価値に基づいていると述べており、これらの倫理的価値は放射線防護体系の目的である「被ばくに関連する可能性のある人の望ましい活動を過度に制限することなく、放射線被ばくの有害な影響に対する人と環境の適切なレベルでの防護に貢献すること」と、「正当化の原則」、「最適化の原則」、「線量制限の原則」の3つの基本原則を支えていると述べています。

また放射線防護の現実の場での実践を補助するため、「説明責任」、「透明性」、「包括性(ステークホルダーの参加)」という3つの手続き上の価値が強調されるとも述べています。

その後のシンポジウムでは生殖腺防護シールドを使用する習慣をどのように変えていくかについてJARTJSRTより推薦された4名の演者が各々の視点から講演が行われ、私はJSRT生殖腺防護検討班によって取りまとめられた「放射線診断における生殖腺防護シールド使用に関するJSRTガイダンス」と題し、日本の生殖腺防護シールド使用に関するJSRTガイダンスや医療者、患者、患者家族向け説明資料の内容について話しました。

私の講演の中で日本でも生殖腺防護はこれまで当たり前のように行われてきましたが、これを一朝一夕で取りやめることは非常に難しいこと。生殖腺防護の中止には放射線診療に関わる全ての人を対象にした医療放射線被ばくに関するリスクコミュニケーションステムを実施できる体制を構築し、生殖腺防護中止に関する情報を提供していく必要があると述べました。


(投稿 川崎医療福祉大学 医療技術学部 竹井泰孝 202312月15日)

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