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WHO小児被ばくイベントに参加しました
先日PIJONでお知らせした、世界保健機関(WHO)「小児放射線被ばくのリスクコミュニケーション」公開講座に先立ち、3月2日日本時間22時には、専門家向けのspecial eventが開催されました。
当日の動画や資料はすべてWebで公開されており、どなたでもご自由に見ることができます。
PIJONからも、宮嵜治(国立成育医療研究センター)、前田恵理子(東京大学)、竹井泰孝(川崎医療福祉大学)が参加しました。
Special guestとして登壇されたのは、WHOのMaria del Rosario Perez、Image GentlyのDon Frush、 European Society of Paediatric Radiology の Joanna Kasznia-Brown 、まさに小児被ばく業界のゴッドマザー・ゴッドファーザーの3人。スーパースターの登壇に、世界中から3302名の参加者が集まりました。
Course series本編の教科書となる Communicating Radiation Risks In Paediatric Imaging は、2016年に宮嵜治(国立成育医療研究センター)らの尽力により邦訳が公開されており、Mariaは、その公開に際して来日されています。
Donは、PIJON発足時のインタビューにご登場いただきました
これだけ参加者がいても東アジア人からのコメントはほぼ皆無で、日本からのプレゼンスはとても大切です。
驚いたことに、2か月間、13回にわたるコースシリーズにも、1248名もの参加申し込みがあったそうです。国や地域は90に渡り、放射線科医、小児科医、診療放射線技師、放射線部や小児科で働く看護師、行政の方など、職種も多岐に渡ります。
登録者には、事前アンケートの中で数多くの体験談がシェアされました。こどもや家族に対する被ばくのコミュニケーションに困難を感じた経験が288件、参加者と共有したい体験談が128件、こどもの被ばく管理やコミュニケーションに成功した経験談が117件といった感じです。
体験談の一部はtestimonyとしてイベント中に共有され、登壇者や Geneva Foundation司会のReda Sadkiらが示唆に富むコメントを寄せただけでなく、SNSやYoutubeを通じて集まる世界中のコメントの中から重要性の高いものがリアルタイムにピックアップされ、紹介されました。
60分間という限られた時間でしたが、大変充実したイベントでした。
放射線被ばくも小児放射線も、その重要性は疑いようがないにも関わらず、日本では放射線医学に携わる人間の中でもマイナーで、「変わってる」「物好き」と言われがちな分野です。小児被ばくは、その合わせ技ですから、マイナーの中でもマイナーな存在に思われてしまいます。
しかし、そんな小児被ばくに、WHOがこれほど熱気あふれるイベントや講座を主催すること、そしてそこに世界中の多くの方が集まることは、衝撃的でした。
患者さんも、スタッフも、世界は若いのです。微力ながら、日本の経験が文字通り世界の役に立ち、また世界中の経験をまとめて日本の医療者と患者さんに還元できるように、良い仕事ができればと思います。
(投稿:東京大学 放射線科 医師 前田恵理子 2021年3月6日)