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成育こどもシンクタンクの発足にあたって

新型コロナウイルス感染症のパンデミックで改めて明らかになったように、近年、こどもたちが抱える健康課題は、こころの問題や学校・家庭など周囲の環境が絡むもの、単一の組織や機関の取り組みだけでは解決が難しいものなど、複雑になってきています。これまであまりスポットライトが当てられてこなかった父親の孤立の問題といったように、徐々に明らかになってきている新たな健康課題もあります。さらに、コロナ禍でのこどもたちの声など、まだ把握しきれていない課題も少なくないことでしょう。

これまで国立成育医療研究センターでは、病院と研究所が一体となって、健全な次世代を育成するための医療と研究を推進してきました。センターの名前にある「成育医療」という言葉には、受精・妊娠にはじまり、胎児、新生児、乳児、幼児、学童、思春期、大人へと成長・発達し、次世代を育む過程を、総合的かつ継続的に診る医療、という意味が込められています。しかし、上記のような複雑かつ多様化する健康課題に対して、より迅速に、より柔軟に、そして効果的に対応したい。その成果を社会に届け、この社会をより良いものに変えていきたい。そのためは、新しい組織が必要であると考えました。

私たちが立ち上げた「成育こどもシンクタンク」は、こどもたちの声を聴き、大切にすることをモットーに、身体的な要素だけではなく、心理・社会的な要素(bio-psycho-social)も含めて、こどもたちにとってなにがベターなのか考え続けます。こどもたちを取り巻く健康課題に対し、組織横断的・専門分野横断的なチームで取り組み、さらには、病院・研究所という枠組みを飛び越え、さまざまな領域、分野、機関と連携し、社会を巻き込みながら協働していきます。そして、なによりも、科学的な確からしさを大切にして、こどもたちの元気につながるアイデアの発信や政策としての提言、社会への実装にも一層取り組んでいきます。

「成育こどもシンクタンク」が目指すのは、“すべてのこどもたちと、こどもたちの成長を支えるすべての方々が笑顔になれる社会”です。皆様のご理解とご支援をよろしくお願いします。


令和4年4月1日
成育こどもシンクタンク
所長    梅澤明弘
戦略支援室 竹原健二、森崎菜穂、小林徹、余谷暢之、千先園子
企画調整室 北澤潤、友利久哉、吉川裕貴

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