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血管撮影・IVRの一般的事項(放射線科医の立場から)

血管撮影とは、皮膚から血管内にカテーテル(造影剤を注入するための管状構造物)を挿入し、X線透視下にカテーテル先端を様々な血管に誘導し、造影剤を注入しながら撮影する検査法です。この検査により、血管の状態や血液(=造影剤)の流れを詳細に評価することができます。

超音波検査(カラードプラ法、パルスドプラ法)、MRアンギオグラフィ、CTアンギオグラフィといった低侵襲な検査法の精度向上にともなって、血管撮影の頻度は減っています。

しかし、これらの低侵襲な検査法よりさらに詳細な情報が必要な場合や、後述するIVRを行う際など、明確な適応がある場合に限り行われます。経皮的なカテーテル挿入は、大腿(太ももの付け根)や腕の血管から行います。血管造影は、動脈ならびに静脈が主な対象となります。

ivr_dr_02-03.pngの画像
左:小児腹部血管撮影(上腸間膜動脈動脈造影)、右:小児頭部血管撮影(内頸動脈造影)

IVRはInterventional Radiologyの略で、日本で古くから使われてきました。欧米では、2つの単語の頭文字を用いて"IR"と略すのが主流です。IVRは経皮的なアプローチで病変組織の採取(生検)や治療を行う手技の総称です。IVR/IRの日本語訳は、"画像下治療"とされています。IVRは、大きく血管系と非血管系に分類できます。血管系では動脈や静脈(門脈)の病変が主な対象ですが、最近ではリンパ管病変も対象となっています。

血管系IVRには、内腔が狭くなった病変に対するバルーン拡張術やステント留置術、血管破綻に対する塞栓術、静脈アクセス目的のポート留置術などがあります。非血管系では、胆管をはじめとする様々な臓器の非血管系病変が対象となります。非血管系IVRには、経皮経肝胆道ドレナージ、腫瘍性病変の経皮的生検、実質臓器の膿瘍ドレナージなどがあります。

国立成育医療研究センターの血管撮影室
全身麻酔下に行われるため手術室内に設置

小児の血管撮影・IVRが成人と大きく異なる点としては、小児は放射線感受性が高い、対象とする臓器が小さいためより細径なカテーテル類の準備が必要、ほとんどの場合、麻酔科医師管理による全身麻酔下に行われる、といったことが挙げられます。

小児の血管撮影は、依頼した主治医や実際にカテーテルを扱う放射線科医や循環器科医のほか、複数の麻酔科医師、診療放射線技師、看護師など総勢10名ほどの医療スタッフのプロフェショナリズムに支えられ行われています。

血管撮影室で3名の医師により脳血管撮影を行っている様子

ivr_dr_06-08.jpgの画像
診療放射線技師による撮影(左)、検査中の看護師のサポート(中)、全身麻酔装置(右)
大勢の医療スタッフのプロフェショナリズムに支えられ小児血管撮影が行われています。
野坂 俊介(国立成育医療研究センター 放射線診療部統括部長)

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