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胃腸炎の研究

研究課題名

腸管出血性大腸菌感染症に続発する溶血性尿毒症症候群の発症・予後規定因子を検討する症例対照研究


背景

  • 腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli; EHEC)は毒素を産生し、出血性腸炎や溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome; HUS)の原因となります。
  • HUSは溶血性貧血・血小板減少・急性腎機能障害の3主徴をもって診断され、先進諸国における小児の急性腎障害の原因として最も頻度が高いと言われています。
  • HUS発症に関わるリスク因子として、年齢・性別などの背景因子・症状の重症度・病原菌株などが知られています。
  • 腸炎に対して止痢剤を投与することはHUSの発症リスクをあげることが知られています。
  • EHEC感染症に対して、抗菌薬を投与することがHUS発症のリスクを上げるのか下げるのかについては一定の結論が出ておらず、国内外において議論が分かれています。

目的

EHEC感染症に対する抗菌薬投与とその後のHUS発症の関連を検討すること。


研究方法

  • 本研究のデザインは、EHEC感染症患者に対する抗菌薬投与とHUS発症の関連を検討するケース・コントロール研究です。
  • 感染症法に基づきEHEC感染症として全国の保健所に届け出られ、2017年1月1日から2018年12月31日の期間に感染症発生動向調査(NESID)に情報が登録された方を対象とします。
  • ケース群、コントロール群に割り当てる対象は、国立感染症研究所から研究班に提供されるNESIDの情報からあらかじめ選定を行います。従って全ての患者さんが対象になるとは限りません。この情報には患者さんの個人情報は含みませんが、届出医療機関等の情報は含まれ、これを元に研究班から全国の医師・医療機関に対して研究協力依頼書と調査票を郵送します(2020年1月を予定)。
  • 調査票が届いた各医療機関においては、研究班から提供される情報(患者さんの年齢と性別、届け出日)を元に該当する患者さんを特定し調査票の記入を行っていただきます。調査項目には患者さんを同定できるような個人情報は含まれません。
  • 調査票の記入が完了すれば研究班に返送していただきます。
胃腸炎研究の流れ図

研究により期待できる成果

  • 腸管出血性大腸菌感染症によるHUS発症のリスク因子が明らかになる可能性があります。
    • 抗菌薬使用がHUS発症リスクを上昇させることが判明すれば、迅速な原因診断に基づいた抗菌薬投与が標準治療となりえます。
    • 抗菌薬使用がHUS発症リスクを上昇させることが判明すれば、不要な抗菌薬投与を削減することで抗菌薬適正使用を推進することができます。
  • 「HUSの診断・治療ガイドライン2007」の改訂に寄与します。

研究実施体制

研究責任者 五十嵐 隆 国立成育医療研究センター 理事長
共同研究者 宮入 烈 国立成育医療研究センター 感染症科
明神 翔太 国立成育医療研究センター 感染症科
佐古 まゆみ 国立成育医療研究センター 臨床試験推進室
砂川 富正 国立感染症研究所 感染症疫学センター(第二室)
研究協力者 小林 徹 臨床研究センター データ管理部 データ管理室
清家 美和子 臨床研究センター データ管理部 データ管理室
岡田 真美 臨床研究センター データ管理部 データ管理室
朴 慶純 臨床研究センター データ管理部 生物統計室
高橋 琢理 国立感染症研究所 感染症疫学センター(第二室)
岡部 信彦 川崎市健康福祉局健康安全研究所
三崎 貴子 川崎市健康福祉局健康安全研究所
窪田 満 国立成育医療研究センター 総合診療部
石倉 健司 北里大学病院 小児科
久保田 雅也 国立成育医療研究センター 神経内科
壷井 伯彦 国立成育医療研究センター 集中治療科

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