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保菌者の研究

研究課題名

腸管出血性大腸菌の病原体保有者に対する抗菌薬投与と排菌期間の関連を検討する後ろ向きコホート研究


背景

  • 腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli; EHEC)は毒素を産生し、出血性腸炎や溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome; HUS)の原因となるほか、胃腸炎症状の有無に関わらず食中毒や施設での二次伝播によるアウトブレイクの原因となります。
  • EHEC感染症は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」では三類感染症に位置付けられており、診断した医師は直ちに管轄保健所に発生届を提出しなければなりません。
  • HUS発症に関わるリスク因子として、年齢・性別などの背景因子・症状の重症度・病原菌株などが知られています。
  • EHEC保菌者はごく少量の菌量でも二次感染の原因となりうるため、便培養の陰性化が確認されるまで、飲食物の製造・販売・調製又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務に従事している方は就業が制限される場合があります。
  • EHEC保菌者の排菌期間を記述した研究は過去にも散見されますが、EHEC感染症に対する抗菌薬投与が保菌者の排菌期間を短縮させる効果があるのかは不明です。

目的

EHEC感染症における抗菌薬投与と排菌期間の関連を検討すること。


研究方法

  • 本研究はEHEC感染症の患者さん(胃腸炎患者・無症状病原体保有者)に対する抗菌薬投与と排菌期間の関連を検討する後ろ向きコホート研究です。
  • 感染症法に基づきEHEC感染症として東京都内の保健所に届け出られ、2017年1月1日から2018年12月31日の期間に感染症発生動向調査(NESID)に情報が登録された方を対象とします。
  • 対象となる患者さんは、国立感染症研究所から研究班に提供されるNESIDの情報からあらかじめ選定を行います。この情報には患者さんの個人情報は含みませんが、届出先保健所の情報は含まれ、これを元に研究班から東京都内の各保健所に対して研究協力依頼書と調査票を郵送します(2020年1月を予定)。
  • 調査票が届いた各保健所においては、研究班から提供される情報(NESID番号など)を元に該当する患者さんを特定し調査票の記入を行っていただきます。調査項目には患者さんを同定できるような個人情報は含まれません。
  • 調査票の記入が完了すれば研究班に返送していただきます。
  • 届出医療機関の住所地と患者さんの住所地管轄保健所が異なる場合、「届出先保健所」と「積極的疫学調査票を有する保健所」が異なる可能性があります。この場合は「届出先保健所」から「積極的疫学調査票を有する保健所」に対して、研究班への情報提供可否に関して電話やメール等で確認していただきます。「届出先保健所」は回答書内の該当箇所に「積極的疫学調査票を有する保健所」名と、当該保健所からの研究班への情報提供可否の問い合わせ結果に関して記載した上で、研究事務局に返送します。研究事務局は「積極的疫学調査票を有する保健所」に対して改めて研究協力依頼書・回答書・CRFを送付します。
保菌の研究 流れ図

研究により期待できる成果

  • EHEC病原体保有者の管理指針の作成に寄与するデータが得られます。
  • 抗菌薬適正使用を推進することが期待できます。
  • 「HUSの診断・治療ガイドライン2007」の改訂に寄与します。

研究実施体制

研究責任者 五十嵐 隆 国立成育医療研究センター 理事長
共同研究者 宮入 烈 国立成育医療研究センター 感染症科
明神 翔太 国立成育医療研究センター 感染症科
佐古 まゆみ 国立成育医療研究センター 臨床試験推進室
砂川 富正 国立感染症研究所 感染症疫学センター(第二室)
研究協力者 小林 徹 臨床研究センター データ管理部 データ管理室
清家 美和子 臨床研究センター データ管理部 データ管理室
岡田 真美 臨床研究センター データ管理部 データ管理室
朴 慶純 臨床研究センター データ管理部 生物統計室
高橋 琢理 国立感染症研究所 感染症疫学センター(第二室)
安岡 圭子 世田谷保健所 感染症対策課
岡部 信彦 川崎市健康福祉局健康安全研究所
三崎 貴子 川崎市健康福祉局健康安全研究所
丸山 絢 川崎市健康福祉局 健康安全研究所
窪田 満 国立成育医療研究センター 総合診療部
石倉 健司 北里大学病院 小児科
久保田 雅也 国立成育医療研究センター 神経内科
壷井 伯彦 国立成育医療研究センター 集中治療科

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