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脳症の研究

研究課題名

腸管出血性大腸菌感染症に伴う脳症発症例の臨床的・画像的特徴を検討する症例集積研究


背景

  • 腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli; EHEC)は毒素を産生し、出血性腸炎や溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome; HUS)の原因となります。
  • EHEC感染症ではHUS発症と相前後して予後不良な急性脳症を合併することがあります。
  • EHEC感染症による脳症に対する特異的治療として確立したものは存在しません。ステロイドパルス療法や血漿交換療法の効果について検討した研究は症例報告やアウトブレイク事例などの小規模なもののみであり、十分なエビデンスが得られていないのが現状です。
  • 集学的治療を行なった場合でも脳症は依然予後不良であり、今後予後改善に向けてEHEC感染症に伴う脳症を発症した患者さんに関する詳細な調査が必要です。

目的

本研究の目的は以下の通りです。

  1. EHEC感染症による脳症の臨床経過を記述し、我が国の医療機関における診療実態を明らかにすること。
  2. EHEC感染症による脳症に対するステロイドパルス療法、血漿交換療法の有効性を検討すること。
  3. HUSガイドラインの改訂に寄与すること。

研究方法

  • 本研究は症例集積研究です。
  • 2011年6月1日から2018年12月31日までにEHEC感染症に伴う脳症と診断された小児の患者さんを対象とします。
  • 2019年10月~11月に全国の小児神経専門医のネットワークで構成される小児神経症例検討会のメーリングリストで研究協力依頼をお送りします。この際、研究概要の説明に加えて、研究対象者に該当する症例経験があった場合に研究班まで連絡いただくように記載します。
  • 研究対象者に該当する症例経験があった医師・医療機関は研究協力の意思がある場合、研究班に対して情報提供が可能である旨の連絡を行います(メール・電話等)。
  • 研究協力の意思表示のあった医師・医療機関に対して研究班から研究協力依頼書・調査票・DVD-R(画像データ入力用)などを郵送します。
  • 各医療機関においては該当する患者さんの診療録を元に調査票の記入を行い、完了すれば画像データとともに研究班に返送します。調査項目には患者さんを同定できるような個人情報は含まれず、画像データの出力の際には個人情報を消去するための適切な処理を行います。
脳症の研究 流れ図

研究により期待できる成果

  • 全国のEHEC感染症に伴うHUS脳症に対する診療実態が明らかになります。
  • 「HUSの診断・治療ガイドライン2007」の改訂に寄与します。

研究実施体制

研究責任者 五十嵐 隆 国立成育医療研究センター 理事長
共同研究者 宮入 烈 国立成育医療研究センター 感染症科
明神 翔太 国立成育医療研究センター 感染症科
久保田 雅也 国立成育医療研究センター 神経内科
阿部 裕一 国立成育医療研究センター 神経内科
壷井 伯彦 国立成育医療研究センター 集中治療科
森 墾 東京大学大学院医学系研究科 生体物理医学専攻 放射線医学講座
髙梨 潤一 東京女子医科大学八千代医療センター 小児科
研究協力者 窪田 満 国立成育医療研究センター 総合診療部
石倉 健司 北里大学病院 小児科
佐古 まゆみ 国立成育医療研究センター 臨床試験推進室
砂川 富正 国立感染症研究所 感染症疫学センター(第二室)
岡部 信彦 川崎市健康福祉局健康安全研究所
三崎 貴子 川崎市健康福祉局健康安全研究所
水口 雅 東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻 発達医科学分野

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