救急受診のご案内
我が国では、受診前に患者自身や保護者、あるいは救急隊員が病状の緊急度・重症度を判断し、受診場所を選別する制度(初期救急、二次救急、救命救急の三段階救急体制)が一般的です。しかし、この概念が、小児救急医療にも理想的な体制だと言うことができるのでしょうか。子どもは自ら訴えることができず、予備力も少なく、病状が急激に変化します。ごく一般的な症状を訴える子どもの中に極めて緊急度の高い病状が隠れ、ただちに集中的な治療が必要なこともあるため、病院を受診前の段階での病状判断には、限界があります。
そのため、「まず全ての子どもを受け入れて、病院内で子どものもつ病状の緊急度を判断し(これを「トリアージ」とよびます)、緊急度に応じた診療を行う」ことが小児救急医療の理想だと考えます。トリアージにより、周りに気付かれにくい隠れた重大な病状を拾い上げ、遅滞のない診療へ結びつけることができます。北米の代表的な子ども病院の一つであるトロント小児病院の前救急部長であるジャービス先生も、「私たちは1人の重篤な子どもを救命するために、100人の軽症の子どもを喜んで診察します。」と述べています。
救急センター(小児 ER)について
当院の救急センター(小児 ER)は2002年3月の開院以来、以下の理念で診療を行っています。
- 救急センターは「具合が悪いので診てほしい」という子ども達を、いつでも、誰でも受け入れます。
- 救急センターは、夜間(時間外)救急外来ではありませんし、重症患者だけを診る三次救命救急センターでもありません。真の救急の病態をもった患者か否かも問いません。痛みや不安を持つ子ども達とそのご家族のために全力を尽くして治療を行っています。
- 小児診療の一環として救急医療を行い、病院が一体となって救急センターを運営します。救急処置を行い、その場しのぎの応急手当のみを行うことはありません。
- "Pediatric Chain of Survival"(小児の救命の鎖)の確立のために、院内のみならず院外への小児救急医療に関わる教育活動と臨床活動に尽力しています。
電話相談について
- 東京消防庁 「救急相談センター」
24時間年中無休で、救急隊員・看護師が対応し、状況によって救急相談医が対応します。- 受付電話番号 #7119(携帯電話・PHS・プッシュ回線から)
つながりにくい場合は、03-3212-2323(23区内)
042-521-2323(東京都多摩地区)
- 受付電話番号 #7119(携帯電話・PHS・プッシュ回線から)
- 東京都福祉保健局 「母と子の健康相談」
下記の時間・電話番号にて、看護師・保健師が対応し、状況によって小児科医師が対応します。- 電話相談受付
月曜から金曜(祝日除く) 17時から22時
休日(土日祝日、年末年始) 9時から17時 - 受付電話番号 #8000(プッシュ回線から)
03-5285-8898(携帯電話・PHS・プッシュ回線以外の固定電話、から)
- 電話相談受付
救急センター(小児 ER)を受診される方へ
「トリアージ」とは
平成22年には救急センターを受診した患者のほとんど(33,298名)がトリアージを受け、そのうち最も緊急度が高く直ちに蘇生処置が必要な患者(蘇生トリアージ)が約413人、緊急度が高く15分以内を目途に診察・治療が必要な患者(緊急トリアージ)が約3,651人でした。それ以外の約9割の患者は待合室で待っていただきました。救急車で来院した患者のうち、上記の蘇生トリアージ・緊急トリアージに該当したた方は約3割で、それ以外の約7割の方は待合室で待っていただきました。
救急センターにとって最も重要なことは、「早急な診察・治療が必要な患者に、遅滞なく、精度の高い診察・治療を行うこと」だと考えています。そのためには、トリアージというシステムが必要不可欠です。皆様のご理解とご協力をお願いします。
待ち時間について
なお、診察を待っている間に、子どもに病状の変化があった場合、トリアージナースにすぐに伝えてください。
診察から帰宅あるいは入院まで
地域連携夜間・休日診療について(お知らせ)