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病院各科の患者さんへの、症状に応じた歯科管理について
移植外科の患者さんには
手術の後は移植された臓器への拒否反応を抑えるために免疫抑制剤を服用します。一方で、免疫抑制剤は感染症に対する免疫力も抑えるため、免疫抑制剤を服用している患者さんは、日ごろから感染症に気をつけて生活されていることと思います。 歯の汚れや歯石から虫歯や歯周病になると、全身性の感染につながるリスクが高くなります。また、免疫抑制剤を服用中は、口の中に口内炎やカンジダ症がでる可能性があります。そのため、手術をしてからも口の中を清潔にしておくことは、とても大切です。 家で行う日々の口腔ケアもとても大切なものとなります。さらに、歯科への定期検診は欠かさず行うようにしましょう。 手術後に歯を抜くなど出血を伴う歯の治療を受ける際には、処置を受ける当日の朝から抗生物質の事前内服を行い、抜歯後3日目まで内服を続けます。
循環器科/心臓血管外科の患者さんには
心臓病の患者さんは、感染性心内膜炎(心臓の内膜や弁に細菌がつき、高熱や心不全、脳梗塞、脳出血などを起こす病気)に注意が必要です。心臓病の状態によって、重度の虫歯治療や歯を抜くとき、歯石の除去などの歯科処置を行う場合、心内膜炎の予防的抗菌薬を服用することがあります。受診の際には、担当の歯科医師に心臓病があることをお伝えください。低年齢より虫歯予防を行うことはとても大切で、口の健康を守るために定期的に歯科を受診することをお勧めします。
脳神経外科の患者さんには
うつ伏せの姿勢で長時間の手術を行う場合があります。手術中、舌を傷つけてしまわないように主治医から歯科へ舌を保護するためのマウスピース作成の依頼を受けます。マウスピースは手術の際の舌保護の目的で作成されたものです。術後も使用し続けると、かえって口の中のトラブルを引き起こすことになりかねないため、使用を継続する必要はありません。 また、手術前後に片麻痺や口腔機能に関わる運動機能障害が生じる可能性があります。手術前後の口腔ケアについて不安がある方は主治医を通じて歯科にご相談下さい。
小児がんセンター/放射線治療科の患者さんには
小児がんの治療では、抗がん剤を使用する化学療法、放射線療法、手術療法、造血幹細胞移植療法などさまざまな治療法があり、その治療内容、使う薬剤や量、組み合わせにより、唾液分泌量の減少、口内炎、口腔乾燥等の口腔粘膜障害が発生することがあります。その際、口の中に感染の元がある場合には、口腔粘膜障害が悪化する可能性もあります。そのため、治療開始前から口の中をきれいに保つことや、保湿による口腔内のバリア機能を維持するような予防的ケアが大切になります。 治療中、口腔粘膜障害がひどく、疼痛により食事摂取が進まない、唾液を飲み込むのもつらいなどの強い症状がある場合には、うがい、口ゆすぎの励行、保湿ジェルでのケアに追加して、疼痛緩和のための口腔粘膜保護材の使用を指示することがあります。 治療後は口腔乾燥症による唾液量の減少、自浄作用の低下により、虫歯や歯周病、感染症が重症化しやすい口の環境にもなり得ます。また、小児がん治療の時期が永久歯を作る時期と重なると、晩期合併症として歯の形の異常や歯ができないことがあるため、歯科では定期的な虫歯のチェックだけでなく、歯の数や顎の骨のチェックなど長期的なフォローを行います。