産科麻酔科
基本情報
周産期・母性診療センターでは、産科麻酔専属の医師が24時間体制で、無痛分娩・帝王切開・胎児治療などの出産に関わる鎮痛・麻酔処置を担当しています。LDRと手術室が直結しており、緊急事態にも迅速が対応可能で、「24時間いつでも安全で快適な分娩」を目標にしています。
診療内容・業務内容
無痛分娩について
太古の昔から分娩は女性にとって危険と苦痛を伴うものでしたが、医療の発展により、「安全で快適な分娩」が可能になっています。当センターでは、産科麻酔専属の医師が24時間体制で無痛分娩の麻酔を担当します。
硬膜外麻酔や、硬膜外麻酔と脊椎麻酔を併用しており、出産時の痛みの緩和や、産後早期の回復が期待できる、出産の安全性が向上する等のメリットがあります。
関心がある方は、妊娠30週以降に、周産期麻酔外来で説明します。
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方法
当センターでは、無痛分娩の方法として硬膜外麻酔単独での方法、硬膜外麻酔に脊髄くも膜下麻酔を併用する方法の2種類を、状況に応じて使い分けています。-
硬膜外麻酔による無痛分娩
硬膜外麻酔は無痛分娩の標準的な方法として長い歴史があります。脊椎の中の硬膜外腔というスペースに細い管(硬膜外カテーテル)を挿入し、そこから局所麻酔薬を注入する方法です。 -
硬膜外麻酔に脊髄くも膜下麻酔を併用する方法
最近は、硬膜外麻酔の前に脊椎麻酔を併用する施設が増えています。脊椎麻酔は、硬膜外腔よりさらに奥にあるくも膜下腔というスペースに直接、局所麻酔薬を注入する方法です。ここに投与された薬剤は直ぐに脊髄に作用し、迅速で確実な鎮痛が得られます。
2種類の麻酔法を組み合わせて、お互いの長所を利用します。
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費用
当センターでは無痛分娩にかかる費用は、通常の分娩費用に加えて一律18万円で、無痛分娩に使用する特殊な針や麻酔薬の料金も全て含まれます。夜間や休日の無痛分娩や、出産が長時間にわたっても、追加の料金はかかりません。
帝王切開の麻酔について
帝王切開術の麻酔の際には、一般的に全身麻酔を避けることがすすめられています。
全身麻酔では、誤嚥性肺炎(胃の内容物を嘔吐して肺炎を起こすこと)や気道確保困難(人工呼吸が適切に行えない状態)の危険が高いためです。
当センターでは、基本的に、脊髄くも膜下麻酔を行っています。 腰椎から極めて細い針で脊髄のすぐ近くに局所麻酔薬を投与するという方法です。迅速で確実に鎮痛効果が得られ、赤ちゃんの誕生の瞬間をしっかりと記憶に残すことができ、スムーズに早期離床できます。やむなく全身麻酔を選択する場合は、上記の合併症にならないように十分な注意をして行います。
無痛分娩中の方は、帝王切開術へ切り替えが必要になっても、通常、無痛分娩で用いていた硬膜外麻酔を、帝王切開の麻酔に応用して帝王切開術を行うことができます。
なお、当センターではLDRと手術室が直結しており、緊急事態にも迅速に対応しています。
無痛分娩や帝王切開以外に、次のような手術も産科麻酔の医師が担当し、痛みなく安全な管理を行っています。
- 頚管縫縮術
- 外回転術
- 胎児治療 (双胎間輸血症候群に対するレーザー治療など)
- 子宮内容除去術
診療実績
| 2021 | 2022 | 2023 |
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経膣自然分娩 | 330 | 284 | 256 |
無痛経膣分娩 | 1043 | 801 | 814 |
無痛分娩後帝王切開 | 146 | 179 | 170 |
帝王切開(無痛分娩後除く) | 633 | 627 | 635 |
受診方法
受診には予約が必要です。産科予約センターに連絡し、予約してください。予約の変更も産科予約センターで対応します。初めて受診(初診)する場合は、医療機関(医院、病院)からの紹介状が必要です。再診の方は、産科予約センターで予約してください。曜日毎に担当医が決まっているため、担当医の希望があれば、予約時に伝えてください。
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外来診療担当表は、こちらをご覧ください。
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受診方法については、こちらをご覧ください。
周産期麻酔外来
産科からの紹介で、外来を受診していただきます。 まず、スクリーニングで、受診時の健康状態やこれまでの病気などについて聞き、その後、受診の目的に応じて説明します。
無痛分娩をご希望の方
無痛分娩についての、希望や不安な点を聞いた上で、当センターでの無痛分娩の方法を説明します。
帝王切開を受ける妊婦の方
合併症に応じた麻酔方法を説明します。
合併症のある妊婦の方
リスクに伴って予想される事態とその対処法をシュミレーションします。
周産期に関わる手術を受ける方
それぞれの手術で行う麻酔の方法や目的、合併症について説明します。
スタッフ紹介
医員 | 山下 陽子(併) |
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(併)=併任、(非)=非常勤