小児がんセンターについて
子どもたちの未来を優しい医療で支えます
小児がんセンター長からのメッセージ
松本 公一
まつもと きみかず
「小児がん」は国内で発生するすべてのがんの1%に過ぎず、年間に2,000~2,500人のこども達ががんと診断されています。小児がんに対する診断・治療は著しい進歩を遂げており、現在、がんと診断されたこどもたちの約70%に長期生存が期待されます。しかし、5歳以上のこどもの病死原因の第1位であり、依然としてこどもにとって生命を脅かす最大の病気です。
小児がんの診療には、多くの小児専門医療の集結が求められます。より良い小児がん診療を提供するためには、さまざまな専門知識、経験、技術を集めることが必要です。国は「がん対策推進基本計画」で、小児がんを重点的に取り組むべき課題の一つとして位置付け、小児がん患者とその家族が、安心して適切な医療や支援を受けられる環境の整備を目指し、2013年2月に全国15の「小児がん拠点病院」を指定しました。国立成育医療研究センターはその一つに指定され、小児がんにおける診療体制・支援体制のより一層の充実をはかるため、2013年9月に「小児がんセンター」を開設しました。さらに、2014年2月には、国立成育医療研究センターは国立がん研究センターとともに小児がん拠点病院を牽引する「小児がん中央機関」に指定されました。
小児がんセンターは、わが国における小児がん診療のモデルとなるように、全ての小児がん患者に対して世界標準かつ優しく温かい医療を提供するとともに、臨床研究の推進、新規治療の開発、長期フォローアップ体制の確立などを通じて、わが国の小児がん診療をリードすることを目標としています。また、小児がんの患者さんおよびその家族のみなさんが、安心して治療を受けることができ、一日も早く普通の生活が送れるように、全面的にサポートしていきます。
小児がんセンターのミッション
小児がんセンターは、わが国における小児がん診療のモデルとなるように、全ての小児がん患者に対して世界標準かつ優しく温かい医療を提供するとともに、臨床研究の推進、新規治療の開発、長期フォローアップ体制の確立などを通じて、わが国の小児がん診療をリードすることを目標としています。
小児がんセンターの組織
小児がんセンターは、診療部門、研究部門、中央診断・データ管理部門および患者支援部門に大きく分かれています。病院と研究所が互いに協力して、各診療科を横断的に統合した体制をとることで、小児医療の専門機能を結集した、患者目線に立った優しい小児がん医療を目指しています。
小児がんセンターの内科系診療組織には、主として小児の悪性腫瘍の診療を行う「血液腫瘍科」、「固形腫瘍科」、「脳神経腫瘍科」、「移植・細胞治療科」が、非悪性血液疾患の診療を行う「血液内科」が設置されています。外科系診療組織には、わが国で唯一の小児がんに特化した外科系診療科である「腫瘍外科」が設置されています。
2018年4月には4つの新たな診療科を設置しました。「がん緩和ケア科」は院内の緩和ケアチーム「こどもサポートチーム」と協働して、小児がん患者さんとそのご家族のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上を目指した緩和医療を提供しています。「長期フォローアップ科」は小児がん経験者に生じる様々な問題を理解し、適切に対応していきます。さらに、小児がんセンターの中央診断・データ管理部門として、全国多施設共同臨床研究の中央診断を病理診断部および小児血液・腫瘍研究部(研究所)と協力して担う「小児がん免疫診断科」が、40歳未満の小児・思春期/若年成人(AYA世代)の院内がん登録の分析を国立がん研究センターと協働して担う「小児がんデータ管理科」が設置されています(下図参照)。
小児がん相談支援センター
小児がん相談員(ソーシャルワーカー)が窓口となり、医師や看護師と連携して小児がんに関連するさまざまな相談に対応しております。患者家族以外の方からのご相談も受け付けております。
ご相談をご希望の方は病院代表(03-3416-0181)までご連絡ください。