
(「先天性無痛無汗症ガイドライン」改訂版より)
先天性無痛無汗症(CIPA,Congenital insensitivity to pain with anhydrosis)は1951年西田らにより世界で初めて詳細な報告がなされた全身性の無痛と無汗を伴う先天性の疾患です。遺伝性末梢神経疾患のなかの、遺伝性感覚自律神経性ニューロパチー(HSAN)Ⅳ型に該当しますが中枢神経の障害も有している点が特徴です。
主要徴候として1.温痛覚消失(低下)、2.発汗消失(低下)、3.精神発達遅滞があげられます。その他の徴候や所見として乳児期からの不明熱(体温調節障害)、乳児期からの口腔内咬傷、幼児期の関節障害と骨折、骨の変形などの異常などがあります。原因としては、温痛覚および発汗機能の調節に働く神経細胞の生存・維持に必要不可欠なNTRK1 と呼ばれる遺伝子が発生の過程で正常に機能しないことにあります。
(詳細はNPO無痛無汗症の会「トゥモロウ」の会ホームページを参照ください)
乳児期:新生児期、乳児期早期には原因不明の発熱を繰り返すことが多く(実は発汗低下によるものですが)、夏場に体温が上がりやすく、一方冬場には低体温で異常に気づかれことがあります(図1)。熱に伴うけいれんも比較的高率にみられます。6 か月を過ぎると歯の萌出がみられその時点で、口腔内咬傷(舌や口唇を咬んでしまう)に気づかれます。比較的身体の柔らかい低緊張型の発達を示します。睡眠障害もこの時期に始まることがあります。
幼児期以降:歩行開始時期が一般に遅く、それ以降に骨折、ねんざ、外傷,やけど、凍傷などを繰り返し易くなります。早期の診断により関節変形等を最小限にする必要があります。言語発達遅滞,多動や広汎性発達障害が顕在化するのもこの時期で行動の自主規制が困難で様々な療育的対応、睡眠調節、リハビリ、薬物治療が必要になってきます。
神経内科の医師が中心となり診療を担当します。年齢別に多彩な症状が出現しますので多科にわたる総合的なケアが必要となります。
※過去10日以内に発熱(37.5℃以上)している場合には、まずは救急センターへお越しください。
外来は、救急センターを除いてすべて予約制ですので、当院で受診される方は『事前予約』が必要です。
国立成育医療研究センターでは、事前予約制を導入しております。当院での受診を希望の方は他院からの診療情報提供書(紹介状)をお手元にご用意の上、予約センター(電話 03-5494-7300)で予約をお取りになってからご来院ください(予約取得時に、紹介状の確認をしております)。紹介状をお持ちでない場合、別途選定療養費がかかります。詳しくは、予約センターにお問い合わせください。
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