先天白内障
先天白内障とは
先天白内障は生後早期に水晶体が白く濁る病気で、先天素因、胎内感染、全身疾患など様々な原因によって起こります。混濁の強い高度の先天白内障は、視覚刺激を遮断するため重度の弱視(生涯にわたる視力障害)をきたします。約1万人に3人に起こる稀な病気ですが、瞳の中が白濁している場合には直ちに眼科に受診して的確な診断を受けることが大切です。眼振(目の揺れ)や斜視(片眼の視線がずれる)は弱視の症状で、放置すると治療困難となります。
高度の先天白内障の治療には早期手術と眼鏡やコンタクトレンズによる矯正、弱視訓練が不可欠です。良い視力を獲得するには、両眼性は生後10~12週、片眼性では生後6週までに手術を受ける必要があります。
生直後ではなく途中から混濁が進行する発達白内障、外傷による白内障、他の眼疾患に併発する小児白内障に対しても、年齢が小さいほど弱視となりやすいため、早期に発見して手術治療の適応を判断する必要があります。年長になって発見された白内障は、手術によって視力が発達する可能性があるかどうか、視覚誘発電位をとって評価をしています。
【参照】
先天白内障の症状
瞳孔領の白濁 |
眼振(目の揺れ) |
左眼内斜視(より目) |
先天白内障の治療と国立成育医療研究センターの方針
先天白内障の形態と混濁の程度、合併症の有無を診断し、治療適応と判断されれば早急に全身麻酔下検査・手術を行います。
先天白内障の乳児に対する手術は、角膜輪部から器械を挿入して混濁した水晶体と前部硝子体を切除する方法です。小眼球などの合併症がある場合には、緑内障などの重篤な術後合併症を防ぐため、通常より細い器械(25ゲージ)で侵襲の少ない手術を実施しています。
1~2歳以降に進行した発達白内障に対する手術は、十分な術前検査を行って合併症のリスクがなければ、ご家族とご相談のうえ眼内レンズ挿入術を行っています。しかし目の成長によって挿入したレンズの度数が合わなくなること、合併症や再手術の頻度が高いこと、長期的な安全性が確立していないなどの問題が残っています。
術後には必ず定期的な検査が必要です。視力を発達させるためには眼鏡やコンタクトレンズを装着して近くにピントを合わせること、片眼性や左右差がある両眼性の場合には、アイパッチを使って良い方の目を遮閉して悪い方の目を使わせる訓練が必要となります。医師と視能訓練士が協力して、術後のお子さんの眼鏡やコンタクトレンズの処方と調整、着脱練習を随時行っています。そして0歳代から乳幼児用視力検査を実施して、視力がどのぐらい発達しているか調べて弱視訓練のスケジュールを立て、ご家庭で取り組んでいただきます。
良い視力を獲得するためには、視覚刺激に対する感受性の高い0~2歳の弱視治療が最も肝心です。また視力が順調に伸びて年長になっても、後発白内障、緑内障、網膜剥離、斜視などの合併症が出ていないかどうか、長期にわたって経過をみていくことが大切です。
乳幼児視力検査
視覚誘発電位 |
乳幼児視力検査器PL |
テラーカード法 |
国立成育医療研究センターの診療体制
先天白内障の診断から手術・術後管理・弱視訓練まで、眼科の複数の医師・視能訓練士がチームを組んで、一貫した診療体制をとっています。全身疾患に合併する白内障の場合には、総合診療部小児科医師と連携して診療にあたります。
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