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肥厚性皮膚骨膜症

肥厚性皮膚骨膜症とは

以下の3つの特徴をもつ病気です。

  • (手足の指先が広くなる)太鼓ばち指
  • 長管骨(腕や脚の部分の細長い骨)の骨膜性骨肥厚(レントゲン写真でみられる)
  • 皮膚肥厚性変化(脳回転状頭皮を含む)

原因は遺伝子の異常であることがわかっています。ただし、一つ一つの症状は、別の病気に伴って現れることがあり(2次性、続発性といいます)、肺がんなどによるものが知られています。

1868年、ドイツ人医師のFriedreichが、この3つの特徴をもった症例を最初に発表しました。その後、この病気はいろいろな名称で報告されてきました。現在ではVagueの提唱したpachydermoperiostosis(日本語では「肥厚性皮膚骨膜症」)の名称が、一般によく用いられています。肥厚性皮膚骨膜症は比較的近年になってくわしいことが分かってきた病気のひとつです。

肥厚性皮膚骨膜症の症状

(肥厚性皮膚骨膜症ホームページhttp://www.pdp-irp.org/patient/index.htmlから引用)

  • ばち指:頭の皮膚が厚くなり、脳のようなシワが出来た状態。
  • 骨膜性骨肥厚:おもに長管骨(腕や脚の部分の細長い骨)の外側の硬い部分(骨皮質)が厚くなってしまった状態。
  • 皮膚肥厚:皮膚が厚くなりしわが深くなります。主におでこ、頭皮(脳回転状頭皮)に現れます。
  • 脳回転状頭皮:頭の皮膚が厚くなり、脳のようなシワが出来た状態。

肥厚性皮膚骨膜症はさまざまな合併症がみられるのが特徴です。2011年、肥厚性皮膚骨膜症に関する研究班により初の全国患者調査が実施されました。研究班が作成した病気の症状に関する詳しいアンケートについて医療機関から43件の回答があり、そのうち重複例などを除いた33例について合併症の頻度が調査されました(括弧内=該当症例数 / 無回答を除いた総数 x 100%)。

  • 皮膚症状
    脂漏・油性光沢(69%)、ざ瘡(65.5%)、多汗症(34,5%)、脂漏性湿疹(16.7%)
  • 関節症状
    関節痛(51.7%)[運動時関節痛(30.3%)、安静時関節痛(9.1%)]、関節腫脹(42.4%)、関節水腫(24.2%)、関節の熱感(9.1%)、骨折歴(6.3%)
  • その他
    貧血(18.2%)、発熱(15.6%)、胃・十二指腸潰瘍(9.4%)、低カリウム血症(9.1%)、自律神経症状(9.1%)、易疲労性(6.1%)、粗毛症(3%)、思考力減退(3%)、頭蓋骨癒合不全(3%)

肥厚性皮膚骨膜症の原因

2008年、原因となる遺伝子のひとつ、HPGDがはじめて発見されました。続いて2012年、中国やドイツ、そして当センター研究班に協力してくれた患者さんからも同じ遺伝子に変異があることが発見されました。その遺伝子はSLCO2A1といいます。どちらの遺伝子も、プロスタグランジンE2(PGE2:発熱や骨吸収などに関与している生理活性物質のひとつ)に関係した働きをもった遺伝子でした。HPGD遺伝子が作り出す蛋白は、プロスタグランジン分解酵素ですから、この働きが悪くなるとPGE2が分解されなくなり、患者さんの身体の血液中、尿中の濃度が高くなります。一方、SLCO2A1遺伝子が作り出す蛋白はPGE2の輸送蛋白であり、細胞外にあるPGE2を細胞内に取り込みます。先にご紹介したPGE2分解酵素は細胞内にありますから、PGE2が細胞内に取り込まれないとPGE2分解酵素が働くことができません。結果的に患者さんの血中、尿中のPGE2の濃度が高くなります。

しかし、PGE2が体の中で余ってしまうとなぜ、皮膚や骨に変化が生じるのか、詳しいことはあまり良くわかっていません。当センターでは研究所周産期病態研究部と連携して正確な診断をつけるための遺伝子診断や、現在の状態を知るために血液や尿の中のPGE2濃度の測定、症状をスコアとして記録して症状の強さとPGE2濃度が関連しているかなどの調査研究を行っています。


肥厚性皮膚骨膜症の治療と国立成育医療研究センターの方針

肥厚性皮膚骨膜症は、対症療法が試みられています。関節症状には一時期コルヒチンという薬剤が用いられていましたが、効果は十分ではありませんでした。最近では骨の吸収に作用するビスホスホネートという薬の内服や、関節滑膜除去術などの手術が試みられているケースもあります。
今のところ発症を遅らせるような治療法はありません。顔面皮膚皺壁や脳回転様頭皮には形成外科的なアプローチが試みられています。


国立成育医療研究センターの診療体制

皮膚科の医師が中心となり診療を担当します。また、小児病院の特色を活かし、各専門診療部と協力し、子どもの将来を考えたトータルな医療を提供します。


診療実績


受診方法

※過去10日以内に発熱(37.5℃以上)している場合には、まずは救急センターへお越しください。


外来は、救急センターを除いてすべて予約制ですので、当院で受診される方は『事前予約』が必要です。

国立成育医療研究センターでは、事前予約制を導入しております。当院での受診を希望の方は他院からの診療情報提供書(紹介状)をお手元にご用意の上、予約センター(電話 03-5494-7300)で予約をお取りになってからご来院ください(予約取得時に、紹介状の確認をしております)。紹介状をお持ちでない場合、別途選定療養費がかかります。詳しくは、予約センターにお問い合わせください。

なお、現在他の病院で治療を受けている場合や緊急で受診が必要なときは、現在かかっている医療機関の医師から直接、医療連携室(TEL:03-5494-5486 (月~金 祝祭日を除く 8時30分から16時30分))へご連絡をお願い致します。

※救急センターは24時間365日診療をおこなっています。診療をご希望の方は、直接救急センターへお越しください。

予約センター(代表)

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