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末期腎不全

末期腎不全とは

腎不全は「腎臓の機能が低下したために、体内の正常な環境を維持できない状態」です。急性腎障害は一般的に回復することが多いのに対し、末期腎不全は失われた腎臓の機能が回復する見込みはほとんどない状態です。腎不全になることで老廃物の処理や水分・塩分の調節などができなくなってしまうため、生命を維持するためには腎代替療法(血液透析、腹膜透析、移植)が必要となります。
慢性腎障害が徐々に悪化して末期腎不全に進行することもあれば、突然の急性腎障害から末期腎不全に移行することもあります。小児の末期腎不全の原因となる疾患は、先天性腎尿路異常(CAKUT)が最も多く、デニス・ドラッシュ症候群、先天性ネフローゼ症候群、ネフロン癆(ろう)、常染色体潜性(劣性)多発性嚢胞腎(ARPKD)のほか、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、慢性糸球体腎炎、腎尿細管形成不全、溶血性尿毒症症候群、心疾患、肝不全、悪性腫瘍などが挙げられます。

末期腎不全の症状について

無症状のことも多いですが、腎機能の低下に伴って以下のような症状や異常が起こることがあります。

  • 尿量が少なくなる(乏尿)
  • 体重増加、むくみ(溢水)
  • 心不全、呼吸不全
  • 不整脈
  • 吐き気
  • 傾眠(声かけや肩を叩くなど、外部からの軽い刺激がなければ眠ってしまう)
  • 過呼吸
  • ショック(全身の各細胞に十分な酸素や栄養が行き届かず代謝障害・臓器障害がおこる状態)
  • 食欲不振
  • 意識障害
  • けいれん

また、慢性腎臓病の症状として以下のような症状や異常が起こることがあります。

  • 高血圧による頭痛、嘔吐、けいれん
  • 貧血による倦怠感、立ちくらみ、息切れ
  • 骨ミネラル代謝異常による骨の異常や血管の石灰化(高リン血症、副甲状腺過形成、血管石灰化、繊維性骨炎、骨軟化症などの発症)
  • 低身長、低体重などの成長障害

その他、末期腎不全となるおおもとの病気に伴う症状が現れていることがあります。

末期腎不全となり得る代表的な病気の概要と治療について

先天性腎尿路異常(CAKUT;「カクート」と呼びます)

お母さんのおなかの中でヒトの各臓器が作られていく過程の異常により、生まれつき腎臓や尿路の形や働きに異常がみられる病気の総称です。代表的な症状としては以下のようなものがあります。
  • 腎臓の大きさが小さい(低形成腎)
  • 腎臓が正しく形成されない(異形成腎)
  • 腎臓そのものが作られない(腎無形成)
  • 腎臓が正常に発育せず、液体で満たされた袋状の病変(嚢胞)が腎臓の中に多数できる(多嚢胞性異形成腎)
  • 尿路が塞がれる(後部尿道弁)
片側の腎臓の異常のみであれば、少なくとも小児期に腎不全になることはほとんどありません。一方、左右両方の腎臓に異常がある場合は、腎不全になってしまうことがあります。一般的に腎不全になる時期は、青年期からや成人期が多いとされていますが、重症例では新生児期や乳児期に腎不全になってしまうこともあります。腎不全への進行を可能な限り抑制すると同時に、慢性腎臓病としての適切な管理を行うことが重要です。また、腎臓以外の臓器に病気を伴うことがあり、その合併症に応じた治療が必要な場合があります。

染色体潜性(劣性)多発性嚢胞腎(ARPKD)

遺伝子変異により両方の腎臓が大きくなる、胆管が正常に形成できない、肝臓の組織が硬くなる(繊維化)などの症状がでる病気です。腎臓・肝臓の病気の進行の程度はさまざまで患者さんごとに大きく異なりますが、腎不全になった場合は透析や腎移植、肝障害の進行や肝合併症により肝移植が必要となることがあります。腎臓の最重症例では、いわゆるポッターシークエンス(胎児期に羊水が作られず出生後に肺が成長しない状態)となるため、新生児期から腎摘出や血液透析または腹膜透析での治療を検討します。また高血圧の症状が出ることが多く、血圧の管理が大切です。細菌性胆管炎は命に関わるARPKDの合併症の一つです。

ポッター症候群/ポッターシークエンス

胎児期に腎臓が正常に発育せずに胎児の尿が十分に排出されないと、母親の妊娠中に羊水が十分に作られません。そのために出生後に肺低形成(肺が十分に成長していない状態)となって、腎不全が起こりえる状態となります。両側腎無形成(左右の腎臓が作られないもの)に伴って起こるものをポッター症候群と呼びます。CAKUT、ARPKD、その他の胎児の時に腎臓が正常に作られない先天性腎疾患においても同様の状態になる可能性があり、それらをポッターシークエンスと呼びます。ポッター症候群やポッターシークエンスはこれまで致死的な病気として認識されてきましたが、その重症度には幅があり、透析が不要な患者さんや透析や移植を経て長期生存している患者さんもみられます。一方、肺の発育が不十分な患者さん、生まれつき尿がまったく出ない患者さん、小さく生まれた患者さん(出生体重が2000 g以下)、腎臓以外の重篤な合併症を有する患者さんは、出生直後や遅くとも乳児期に末期腎不全になると透析が必要となります。腎移植が可能な体格(3歳〜5歳)に成長したのちに腎移植を行います。また、腎臓や肺以外の臓器の合併症がある場合は、それぞれの合併症に応じた治療が必要です。

デニス・ドラッシュ症候群

遺伝子の変異により、進行性の腎症、性分化の異常、腎芽腫(ウィルムス腫瘍)が起こる可能性がある病気です。腎症は新生児期や乳児期に発症して急速に末期腎不全になるタイプと、学童期以降に蛋白尿やネフローゼ症候群が出て比較的ゆるやかに末期腎不全へと進行するタイプがあります。末期腎不全になった場合は、腎代替療法が必要です。性染色体が男性(46,XY)の場合は性分化に異常があり、内外性器が性に一致しない場合や機能が不十分な場合、性腺腫瘍を合併することがあり、内分泌に関する専門的なサポートが必要です。性染色体が女性(46,XX)の場合は性分化に異常を認めない、または軽微な異常のことが多いとされます。性腺の形態に異常がある場合は、性腺腫瘍のリスクがあります。その場合は予防として、性腺摘除を行うことがあります。また、腎不全に至り、すでに透析を行っている場合は、腎芽腫発生の予防として腎摘出を行います。腎移植が可能な体格(3歳〜5歳)に成長したのちに、腎移植を行います。腎移植後に腎症が再発することはありません。

先天性ネフローゼ症候群(フィンランド型)

遺伝子の変異により、生後3か月以内(多くは新生児期早期)に発症します。尿中に必要以上のたんぱく質が出ている(高度蛋白尿)、血液中のアルブミンというたんぱく質が正常値よりも低下している(低アルブミン血症)など症状があり、全身にむくみが出ます。通常のネフローゼ症候群と違いステロイド薬は使えないため、アルブミンの補充によりむくみの管理を行います。蛋白尿を減らす目的として片方の腎臓を摘出することで退院が可能となりますが、数年以内には末期腎不全となるため透析が必要となります。腎移植が可能な体格となる時期を見据えて、もう片方の腎臓を摘出し、その後腎移植を行います。また、ネフローゼ症候群に伴う感染症、血栓症、甲状腺機能低下症などの合併症があり、予防や対応が必要です。

ネフロン癆(ろう)

遺伝子の変異により、腎臓の内側に特徴的な嚢胞(球状の袋)ができる進行性の病気です。腎臓の尿細管細胞にある一次繊毛の異常が原因とされ、早ければ3〜5歳以前、通常若年成人期までに腎不全に至り、腎代替療法が必要となります。尿検査で異常がわかるのはある程度病状が進行してからのことが多く、先天性腎尿路異常(CAKUT)によってネフロン癆が発症すると末期腎不全まで早く進行することが多いです。腎臓以外の症状としては、発達の遅れ、小脳虫部が十分に発達していない、目の内側を覆っている網膜に異常がある(網膜色素変性症)、眼球を動かす筋肉に障害が起こる(眼球運動失調症)、四肢が短い、肝線維症、胆道の拡張などがあります。ネフロン癆はジュベール症候群やジューヌ症候群、有馬症候群などのいくつかの症候群の一症状としてあらわれることがあります。

巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)

ネフローゼ症候群の一種で、腎臓内にある糸球体の一部が硬くなることで、高濃度のタンパク尿や血尿、高血圧、浮腫などが生じ、進行性の腎機能障害が出る病気です。腎臓の一部組織を取って(腎生検)診断されます。特発性ネフローゼ症候群でステロイドが効かないときに腎生検を行ってFSGSと診断されることが多いですが、遺伝子の変異や二次性ネフローゼ症候群他の疾患、ウイルス感染、薬剤性など)でもみられます。治療や予後は原因により異なります。
近年、特発性ネフローゼ症候群は、免疫抑制薬やステロイドパルス療法、リツキシマブなどにより症状が一時的に軽くなったり消える(寛解する)場合もあり、腎不全への進行は少なくなりました。一方、末期腎不全になってしまうと、移植後の再発を起こしやすいことが問題となります。遺伝子変異によるFSGSでは通常、ステロイドを含む免疫抑制療法は効かないため末期腎不全となる可能性がありますが、特発性ネフローゼ症候群と異なり移植後の再発は通常ありません。

国立成育医療研究センターの診療体制

腎臓・リウマチ・膠原病科の医師が中心となり診療を担当します。
また、小児病院の特色を活かし、各専門診療部と協力し、子どもの将来を考えたトータルな医療を提供します。

診療実績

受診方法

※過去10日以内に発熱(37.5℃以上)している場合には、まずは救急センターへお越しください。


外来は、救急センターを除いてすべて予約制ですので、当院で受診される方は『事前予約』が必要です。

国立成育医療研究センターでは、事前予約制を導入しております。当院での受診を希望の方は他院からの診療情報提供書(紹介状)をお手元にご用意の上、予約センター(電話 03-5494-7300)で予約をお取りになってからご来院ください(予約取得時に、紹介状の確認をしております)。紹介状をお持ちでない場合、別途選定療養費がかかります。詳しくは、予約センターにお問い合わせください。

なお、現在他の病院で治療を受けている場合や緊急で受診が必要なときは、現在かかっている医療機関の医師から直接、医療連携室(TEL:03-5494-5486 (月~金 祝祭日を除く 8時30分から16時30分))へご連絡をお願い致します。

※救急センターは24時間365日診療をおこなっています。診療をご希望の方は、直接救急センターへお越しください。

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