ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナとは
ヘルパンギーナは発熱と口の中の粘膜にみられる水疱性の発疹を特徴とし、その大多数はエンテロウイルスやコクサッキーウイルスの感染によるものです。例年5月頃から流行し始め、6~7月がピークとなります。
年齢は4歳以下がほとんどで、1歳代がもっとも多いです。ヘルパンギーナの主な感染経路は接触感染と飛沫感染で、3~6日の潜伏期の後、突然の39~40℃の高熱に続いて咽頭の粘膜の発赤が目立つようになり、上あごの粘膜やのどの奥に直径1~2mmほどの小水疱が出現します。小水疱は破れて浅い潰瘍を形成し、疼痛を伴うことがあります。
発熱は2~4日間程度で解熱します。口腔内の疼痛のため不機嫌や哺乳障害、経口摂取不良を起こし、乳児では脱水症をきたすこともあります。発熱時に熱性けいれんを起こしたり、無菌性髄膜炎を合併するケースもありますが、ほとんどは予後良好です。症状が強い急性期にもっともウイルスが排泄され感染力が強いですが、回復後にも長期にわたって便からウイルスが検出されることがあります。
ヘルパンギーナの治療方針
発熱などの症状を和らげるために解熱剤を用いるなどの対処療法が一般的です。脱水とならないように少しずつ水分を摂るようにしましょう。
ウイルス性の感染症のため、通常の感冒と同様に抗菌薬は効果がありません。通常は対症療法のみで、発熱や頭痛、口の中の水疱の疼痛などに対して解熱・鎮痛剤を用いることがあります。脱水に対する治療が必要なこともあります。水分摂取を心がけ、安静と栄養に気をつけることが大切です。
1週間ほどで熱も水疱もひくケースがほとんどですが、発症して2~3日目以降に発熱がひどくなり、吐き気や頭痛を伴う場合は、脳や髄膜にウイルスが侵入している可能性がありますので注意が必要です。口の中の痛みが経口摂取不良の原因となっている場合があり、のど越しのよい食事をお勧めします。特別な予防法はなく、感染している人との密接な接触を避けることや、手洗いが大切です。
小児科でヘルパンギーナと診断された場合は、熱がさがるまで幼稚園や保育園、学校は休みましょう。家で安静にすることが治療の基本です。お子さんの全身状態が安定して、発熱がなく、口腔内の水疱(水ぶくれ)・潰瘍の影響がなく普段の食事がとれる場合は登校(園)可能です。
ただ、症状が回復してからもウイルスは長期にわたって排泄されることがあるため、特にトイレ後の手洗いはしっかりするようにしましょう。
国立成育医療研究センターの小児救急センターは、24時間365日体制です
夏休みや長期休暇、ご近所のクリニックが空いていない時であっても、子どもの不慮の事故や発熱などの急病は突然やってきます。国立成育医療研究センターの小児救急センターは、原因に関わらず急な出来事で困っている子どもの手助けができるよう、年末・年始やゴールデンウィークなどの長期連休を含め、昼夜を問わず24時間365日、複数名の外来診療担当医を配置しています。診療を希望される方は、いつでも救急センターへ直接いらしてください。
当センターでは「まず全ての子どもを受け入れて、病院内で子どものもつ病状の緊急度を判断し(これを「トリアージ」とよびます)、緊急度に応じた診療を行う」ことが小児救急医療の理想だと考えております。重篤な、緊急度の高いお子様の治療を優先するために、長らく待合室でお待ちいただくことも御座います。ご理解・ご協力のほど、何卒よろしくお願いいたします。
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緊急的もしくは早急に診療予約が必要(入院適応患者を含む)な患者を紹介いただく場合は、医療連携室・救急センターにご一報をお願いいたします。医師に確認のうえ、受入れ可否についてご相談させていただきます。