代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

  • アクセス・交通案内
  • 予約センター
  • MENU

エムポックス

エムポックスというウイルスの感染症がアフリカを中心に流行し、世界中で感染者が発生しています(2024年9月時点)。日本においても今後注意が必要な状況になっています。

エムポックスとは

エムポックスとは、エムポックスウイルスによる感染症です(以前はサル痘と呼ばれていましたが、現在ではエムポックスという名称に変更になりました)。
人に感染すると発熱や特徴的な発疹(水ぶくれ)などの症状が出ますが、これらの症状は、みずぼうそうなどの感染症と区別が難しい場合があります。
1970年ごろに人に感染することが分かり、それ以降、エムポックスはアフリカで患者が確認されていました。しかし、2022年5月以降の世界的な流行をきっかけに、世界保健機関(WHO)が国際的な公衆衛生上の緊急事態を宣言しています。
エムポックスウイルスは、遺伝子の特徴に基づく「クレード」という分類でグループ分けされていて、現在は「クレードI(コンゴ盆地系統群)」と「クレードⅡ(西アフリカ系統群)」の2つが確認されています。同じエムポックスウイルスでも、クレードによって重症度が異なり、「クレードI」の方が「クレードII」よりも重症になる患者が多いと報告されています。
以前は患者数や重症度の観点から、主に大人の感染症でしたが、2024年7月以降流行している「クレードIb(クレードIから派生したもの)」がアフリカ内外で少しずつ増えてきていて、現在は子どもの患者や重症度が増加している状況です。今後、日本国内でも「クレードIb」が流行しないか注意が必要です。
(画像:国立感染症研究所)



エムポックスの感染経路

エムポックスは動物から人への感染に加えて、人から人にも感染が広がっていく可能性があり、「接触感染」と「飛沫感染」が主な感染経路になります。

接触感染

感染した人や動物の、皮膚病変(特徴的な発疹など)や血液、体液などへ接触することで感染します。

飛沫感染

感染した人と接近した状態で、咳やくしゃみ、会話などの際に空気中に飛び散ったウイルス(飛沫)にさらされることなどで感染します。

発症前4日~発症後4週間は注意が必要!

発症の4日前ごろから周囲の人に感染させる可能性があります。また、発症後は発疹がすべて良くなり、かさぶたになって剥がれ落ちるまで(2〜4週間、多くは21日程度)は周囲の人に感染させる可能性がありますので、注意しましょう。

エムポックスの潜伏期間と症状

エムポックスウイルスに感染すると、5〜21日(多くは7〜14日)の潜伏期間を経て、「発熱」、「頭痛」、「リンパ節腫脹(リンパ節の腫れ)」、「特徴的な発疹(水ぶくれ)」などの症状が出ます。これらの症状に加えて、中枢神経、心臓、目などに合併症をきたすこともあります。

重症になるリスクが高い方

  • 免疫不全の状態がある方
  • 12歳未満の子ども
  • 妊婦さん
  • 重度のアトピーがある方

エムポックスの検査や診断

「発熱」や「特徴的な発疹(水ぶくれ)」などの症状があって、エムポックスが疑われる場合には、みずぶくれを拭った綿棒を専門機関に提出して検査します。また、エムポックスと分かっている方との接触があった場合には、体のさまざまな場所を拭った綿棒や血液、おしっこなどを専門機関で検査することがあります。

  1. エムポックスの治療

    エムポックスには、まだ確立した治療法がありません。しかし、国内外でエムポックスの治療に関する抗ウイルス薬の研究が行われています。
    また、発熱や痛みなどの症状があれば、それらの症状をやわらげるような薬を使用して対応(対症療法)します。

    エムポックスの予防

    天然痘ウイルスに対するワクチンが、エムポックスの予防にも効果があるとされています。もしエムポックスを発症している人と接触があった場合には、なるべく早く天然痘ワクチンを接種することで、エムポックスの発症を高い確率で予防できると考えられています。現時点ではどこでも接種できるワクチンではなく、特定の医療機関で研究の一環として接種が行われている状況です。

    参考文献

    1. エムポックス 診療の手引き 第2.0版 (厚生労働省)[2024/9/5閲覧]
    2. アフリカ大陸におけるクレードI によるエムポックスの流行について(第2報)(国立感染症研究所)[2024/9/5閲覧]
    3. エムポックスについて (厚生労働省)[2024/9/5閲覧]
    4. Ward T, Christie R, Paton RS, Cumming F, Overton CE. Transmission dynamics of monkeypox in the United Kingdom: contact tracing study. BMJ. 2022;379:e073153. Published 2022 Nov 2. doi:10.1136/bmj-2022-073153

ページトップへ戻る