未熟児網膜症
未熟児網膜症とは
未熟児で、まだ発達途上の眼球内で網膜血管が異常増殖する病気です。網膜血管は胎齢14週頃より発生を始め、枝分かれして成長して30週で完成するのですが、未熟児で出生して安定した母体から急激に環境が変化すると、網膜の血管は異常な方向に増殖します。これが進行すると、網膜を牽引して網膜剥離を起こし、重篤な視力障害、時には失明にいたります。
血管増殖の発芽
増殖進行と網膜剥離(青色)の始まり
高度な網膜剥離(青色)
未熟児網膜症は、在胎週数・出生体重が少ないほど網膜血管が未熟なので発症率が高く、重症になりやすい傾向があります。近年は、周産期医療の進歩に伴う生存率の向上によって、体重が極端に少ない児が生存できるようになりました。その一方で、重症網膜症が多く見られるようになり、現在は小児の失明原因として第1位となり、全体の40%にも達しています。
未熟児網膜症の治療と国立成育医療研究センターの方針
未熟児網膜症では、どの施設でも、光凝固が標準治療の第一選択として行われます。網膜症は、血管がまだ成長していない無血管領域から血管新生因子が放出されて起こるので、無血管領域凝固して、血管新生因子の放出を減らすことが目的です。
光凝固で治るものも多いのですが、網膜症の活動性が強く、増殖が進み網膜剥離が起こり始めれば、これに対する治療を行わなければなりません。国立成育医療研究センターでは、世界に先駆けて重症網膜症に対する早期硝子体手術を開発しました。93%が治癒率し(全治癒81%、部分治癒12%)、全治癒の67%で0.1弱~0.5(平均0.2)の有用な視力が得られるという、非常に良い成績が得られています。
ただし、手術のタイミングが重要で、重症例では急速に網膜剥離に進行するので、これが起こらないうちに、時宜を逸さないよう早期に手術を行うことが重要です。
診療実績
受診方法
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