気管軟化症
気管軟化症とは
気管の太さ(内腔径)が、息を吸うときはある程度保たれますが、吐くときは狭くなり(狭窄)、呼吸障害などの症状を伴う疾患を、気管軟化症と言います。原因として、気管自体が構造的に弱いものと、大血管や腫瘍などによる外部からの圧迫によるものがあります。
気管軟化症の症状について
気管軟化症の重症例では出生直後から以下のような症状が出現しますが、軽症から中等症例では生後1~3か月頃まで症状が出現しないこともあります。先天性気管狭窄の症状と共通していますが、気管軟化症では先天性気管狭窄と比べて安静時と体動時(子どもが泣く=啼泣時)の症状の差が大きいことが特徴です。
- 喘鳴(ぜんめい):喘鳴は呼吸に関連する連続して聞こえる雑音です。先天性気管狭窄では、息を吸う時を中心に「ゼロゼロ」「ゼーゼー」という雑音が聴取されます。狭窄が高度・広範囲の場合には往復性(吸気・呼気にわたる)喘鳴となることもあります。安静時(睡眠時)に軽減し、啼泣時などに増悪する傾向があります。
- 呼吸困難・チアノーゼ:呼吸が早くなったり(頻呼吸・多呼吸)、努力呼吸(陥没呼吸、鼻翼呼吸)が出現したり、また血液中の酸素が足りなくなり青みがかった皮膚の色となる(チアノーゼ)ことです。安静時には症状が落ち着いていても、咳や子どもが泣くことなどにより気管が狭まる狭窄症状が進行し、強いチアノーゼから呼吸停止・意識消失(dying spell)まで進行することがあります。
- 咳嗽(がいそう):一般的に言われる咳のことです。風邪・気管支炎などの感染や誤嚥をきっかけとして痰がらみの咳が出現することがあります。狭窄部位・程度によっては犬吠様(けんばいよう)やアザラシの鳴き声様といわれる独特の咳嗽となり、クループ(ウイルス感染症により発生する気管と喉頭の炎症)との区別が難しい場合があります。
- 体重増加不良・経口摂取不良:呼吸が苦しい場合には、ミルクが上手に飲めなかったり、それに伴って体重が十分に増えなかったりすることがあります。
気管軟化症の検査・診断
- 胸部X線写真:気管空気像が細い、確認しにくい場合に気管狭窄を疑います。気管支の分岐も確認します。ただし、新生児・乳幼児ではその判定が困難なこともあります。
- 胸部(造影)CT :安静呼吸時の気管径や形態を評価することができますが、呼吸性の変動は確認できません。周囲の大血管との位置関係、リンパ節腫大の有無なども確認し、気管の外側から圧排されて狭くなっている可能性がないかを検討します。
- 気管支内視鏡検査
気管軟化症の治療と国立成育医療研究センターの方針
検査所見から軟化症の程度を確認し、症状の重症度と合わせて、外科治療が必要なのか、それとも保存的に成長発達を待つことができるのかを判断します。子どもは成長とともに症状が変わっていくことがありますので、この判断は成長・発達に合わせて随時行っていくことが必要と考えています。
受診方法
外来は、救急センターを除いてすべて予約制ですので、当院で受診される方は『事前予約』が必要です。
小児気道疾患センターの受診を希望される方は、現在のかかりつけ医師から直接、国立成育医療研究センターの医療連携室へご連絡をお願いします。
医療連携室
03-5494-5486月~金曜日(祝祭日を除く)8時30分~16時30分
※医療機関の方からの専用電話になります。
※夜間・休日は代表番号へお電話ください。
準備いただきたいもの
- 紹介状(情報提供書)
- 画像検査結果(MRI, CTなど)の入ったCD-R
- 今までに行った内視鏡検査結果(できれば動画)
診療実績
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