先天性喉頭奇形・喉頭裂
先天性喉頭奇形・喉頭裂とは
赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間に形成されるはずの気管と食道を隔てる「壁」が、何らかの理由で形成されなかったために、喉頭から気管にかけて裂け目が残っている、先天性の非常に稀な喉頭奇形です。裂け目の長さによって症状が異なり、無症状の場合もありますが、裂け目が長いほど重症です。他の先天性奇形を合併することも多く、消化器系、泌尿器系、心血管系の奇形を合併することもあります。特に食道閉鎖症を合併することが多くなっています。
先天性喉頭奇形・喉頭裂の症状について
- 誤嚥:飲み込んだ唾液や食物が、食道から一部気管へ流入してしまい、ひどくなると肺炎をきたします。
- 呼吸障害
- 嗄声(声がれ)
先天性喉頭奇形・喉頭裂の検査・診断・分類
喉頭内視鏡検査
喉頭列の裂け目は診断が難しいことが多く、全身麻酔をかけることで声門より下の気管までしっかりと確認することができ、裂け目の長さを正確に診断することができます。嚥下造影検査
造影剤の入ったお水などを飲んでもらい、誤嚥の程度を確認します。
喉頭裂の4つのタイプ
図1
先天性喉頭奇形・喉頭裂の治療と国立成育医療研究センターの方針
- 保存的治療:裂け目が比較的短く、症状が軽度であれば成長とともに症状が改善することもあるため、鼻からチューブをいれて、栄養を胃にいれる方法(経鼻経管栄養)で様子をみることがあります。また、とろみをつけた食事にするなど、誤嚥しにくい食事にして、経過をみる場合もあります。
- 気管切開:呼吸状態が不安定な場合や、誤嚥が多く肺炎を繰り返している場合などは、気管切開術が必要になる場合が多いです。気管切開術を行うと、痰や分泌物が吸引しやすくなるため、肺炎をきたすリスクも少なくなります。
- 喉頭裂修復術:裂け目がそれほど長くない場合は(図1:1・2)、口から内視鏡をいれて、内視鏡でみながら裂け目を縫合する手術を行います。裂け目が長い場合(図1:3)は内視鏡下での手術が困難ですので、頸部を切開して喉頭や気管の裂け目を直接縫合する手術を行います。
受診方法
外来は、救急センターを除いてすべて予約制ですので、当院で受診される方は『事前予約』が必要です。
小児気道疾患センターの受診を希望される方は、現在のかかりつけ医師から直接、国立成育医療研究センターの医療連携室へご連絡をお願いします。
医療連携室
03-5494-5486月~金曜日(祝祭日を除く)8時30分~16時30分
※医療機関の方からの専用電話になります。
※夜間・休日は代表番号へお電話ください。
準備いただきたいもの
- 紹介状(情報提供書)
- 画像検査結果(MRI, CTなど)の入ったCD-R
- 今までに行った内視鏡検査結果(できれば動画)
診療実績
小児気道疾患センター
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